UK9報道部

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わかしお座礁。なぜ船はモーリシャスに近づいたのか?

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unesourisetmoi bgによるPixabayからの画像

インド洋のモーリシャス沖合で、日本の海運会社、長鋪汽船の関連会社が所有する貨物船「わかしお」が座礁しました。8月6日には船内から燃料が周辺海域に流出。15日には船体が2つに割れるという事態になっております。この事故は観光地でもあるモーリシャスの自然に大きな被害を与えており、長期的に環境や海洋生物に深刻な影響を与えるということです。

 

ロイターによれば、これまでに流出した燃料は1000トンと見られています。船内にはまだ潤滑油など90トンの油が残っていると見られていますが、幸いなことに、流出した分を除く3000トンの燃料は12日までに回収されたと報じられています。長鋪汽船と運航会社の商船三井は現地での協力を約束しており、日本政府も出てきたようですので、誠意ある対応をぜひお願いしたいところです。

 

で、なんで自然豊かなエコツーリズムで観光客に人気のあるモーリシャスみたいなところに貨物船がやって来るんだろうと思うんですが、ブルームバーグによると、モーリシャスや近くのレユニオン島は、アジアの港とインド洋を結ぶマラッカ海峡からまっすぐ最短距離にあるからだそうです。またアジアと西アフリカ、ラテンアメリカ、欧州、北米を結ぶルートでもあるので、モーリシャスはまさに国際海運のハイウェイ上にあるということらしいです。東西を結ぶルートであれば、かなりの確率でモーリシャス付近を通ることになるそうです。

 

そもそも輸送ルートは、昔から陸に近くなる傾向があるとのこと。いまや衛星によるナビで遭難船を探すということも可能ですが、もし貨物船が陸から数千マイルも離れたところで遭難すれば専門の救助が駆けつけるまでに数日かかるので、陸に近いルートのほうが安全ということですね。

 

あと、日本のニュースでは乗組員がWi-Fiをつかむために陸に近づいたのではという報道がありましたが、船員にとっては高くて限られた衛星電話を使わず、家族に連絡できる方法だとブルームバーグも述べています。これが理由だったとすると何とも言えない気持ちなんですが…。

 

結局のところ、なぜ船がモーリシャス島付近まで来たのかはわからないということで、真相は今後の捜査で明らかになるだろうということです。他国では、船が近づくことを禁じたセーフティーゾーンを設けているところもあるということで、モーリシャスも今後同様の事故の発生を防ぐため、そうするべきと業界関係者は述べています。

 

国連貿易開発会議によれば、石油を運ぶタンカーの流出事故の場合は国際油濁補償基金(IOPC FUND)で補償されるそうですが、今回のケースは船自体の燃料の流出ですので、当てはまらないとのことです。適用されるなら、「燃料油による汚染損害についての民事責任に関する国際条約(通称バンカー条約)」のほうということですが、こちらはIOPC FUNDに比べ補償は劣るということで、今後どれだけバンカー条約でコストや損失をカバーできるかはわからないということです。

 

日本のメディアの報道によれば、船主責任制限条約で事故に対し補償されるということです。これまでで最悪の環境汚染の一つになっているというニュースも聞きましたので、バンカー条約と合わせて十分な補償となることを願います。