UK9報道部

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東京五輪でのプロテスト禁止。IOCの決定をアスリートたちはどう見た?

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Free-PhotosによるPixabayからの画像

東京五輪ってホントにやる気?コロナやばいけど…という民意が感じられる今日この頃ですが、何があってもやるんでしょうねぇ。私はこういう記事を書かせていただきました。

newsphere.jp

海外の人も「厳しいんじゃない?」って思っているようなんですが、選手にとってはやはりアスリートとしての頂点、晴れ舞台なわけですから、せめてちゃんと対策はしてほしいですね。ガースー&百合子、お願い。

 

で、こんな心細い五輪にさらに物議を醸すニュースです。本日見つけた記事はこちら!

www.cbssports.com

国際オリンピック委員会IOC)には規則第50条というのがあり、これはオリンピック会場でのあらゆる形態の「デモまたは政治的、宗教的、人種的なプロパガンダ」を非難するというものです。ところが昨今は人種問題に関するデモなどの増加を受け、スポーツ界でも選手が自分の姿勢を示す動きが広がっています。IOCでも東京大会で抗議行動を選手が取った場合、どうするかという議論があったようです。

 

協議の結果、50条の方針を維持するという結論に至ったということです。これにより、アスリートが東京で抗議行動をすれば処罰すると、IOCのアスリート委員会のチーフがはっきり述べています。ちなみに3500人の五輪選手を対象にした調査では、約7割がスタジアムや式典、表彰台での抗議行動は見たくないと答えたそうです。これが決定を支える大きな理由みたいです。

 

一方IOCの決定に反対する選手や団体もあります。

www.espn.com

もとはAP通信の記事です。世界的なスポーツ選手の組合である、World Players Associationが、東京五輪で選手が制裁を受ければ、全面的な支援をすると述べています。また、ドイツの選手を代表する団体も、法的支援をすると表明しました。さら別のアスリート団体、Global Atheteも、「時代遅れの『スポーツルール』が、あなたの基本的人権にとって代わることを許してはならない」と選手たちに呼びかけているそうです。

 

注目すべきは米オリパラ委員会(ISOPC)で、昨年12月に東京五輪の選考会で抗議行動を取るアスリートにはお咎めなしと発表しており、IOCの今回の決定後も、姿勢は変わらないとしています。アメリカは最近人種に関する抗議行動が活発に行われた経緯もあり、このへんはダメとはぜったい言わない感じですね。むしろ言うとリベラル勢からの批判で炎上しそう…。

 

そしてアメリカのアスリート側も大反発しているようです。USOPCのアスリート諮問委員会(AAC)も、第50条に「意味ある、影響力がある変更」がないことに失望したと表明。「IOCがスポーツの中立性神話を助長したり、現状維持を擁護したりするアプローチを改めるまで、主流を外れたアスリートたちは沈黙させられ続けるでしょう」としています。

 

ICOは、Black Lives Matterなどのスローガンをアスリートの服に使用することは認めないとしていますが、Tシャツに「平和」「リスペクト」「連帯」などの言葉を使用することは認めているそうです。この辺もお茶を濁す行為というか、きれいな大会を目指しているのが分かります。

 

IOCが行ったという調査にも、おかしいんじゃないか、という疑問の声が出ていますね。

 

sports.yahoo.com

 

そもそもアスリートを中心に現役五輪選手、OB、運営関係者、業界専門家で作る団体、Team USA Councilは、IOCに対し、「人権や社会正義に関する抗議行動」と、「ヘイトスピーチや人種差別的プロパガンダ、差別発言など」の事例を明確に区別するよう求めていたそうです。ところが、調査が尋ねたのは「政治的問題やその他のトピックについて個人的な見解を示したり表現したりすることの妥当性」についてだったということで、ぼかした設問に問題があったという考えですね。

 

普遍的な抗議ルールを作るのが難しいこと、中国選手とアメリカ選手の間で意見が大きくことなること、などはUSOPCも認めているようです。しかし、IOC定量的な調査に基づき決定を行ったことは問題だとしています。このテーマが比較的重要ではない回答者と、このテーマに深く関わっている回答者の声を同等に扱っていることが問題ということです。

 

USOPCのAACは、「私たちは第一に人間であり、アスリートであることは二の次だと信じている。そして私たちは、人種的、社会的正義のため戦うために、自らの意見を述べる機会を利用するチームUSAのメンバーを力づけ、サポートし、保護することへの深い関与を堅持する」と述べています。

 

うーん、えらいことになってきました。コロナ感染対策も大きな問題なんですが、プロテストも混乱の種になる可能性はあります。私は五輪の場では、きっとプロテストは起きると思うんです。最悪、ウイグル問題なんかも対象になってしまうかもしれませんね。その時、日本政府、JOC、組織委はどうするのか?そして日本人はどうするのか?そんなことを考えてしまっています。