本日ウォール・ストリート・ジャーナル紙がスクープを発表。日本語でもさっそく出ています。
この記事によりますと、2019年に中国武漢のウイルス研究所の研究員3人が体調不良で「新型コロナと季節性の通常疾患両方の症状」を訴え治療を受けていたということです。トランプ政権時代の国務省の情報だったとのこと。関係者の一人は、質の高い正確な情報だったと述べているらしいです。
そう来ましたか。
実は、私数日前にこの記事を書いていました。なので反応してしまいました。
WHOがコロナの出所を調査したものの、研究所からの漏洩はほぼないとした報告書を出していました。中国側から十分なデータが示されなかったので、複数の研究者が、その結論は科学としてどうなの?と正確な調査を望む書簡を発表したという話だったんですが、ここへきてこのニュースです。
欧米メディアは、WSJのスクープを取り上げる報道ばかりで同じような記事になっているんですが、数日前に出たもので非常に興味深いものがありましたので、今日ご紹介します。スタンフォード大学の微生物学者、デビッド・レルマン氏の意見です。この方は前述の書簡を出した学者のうちの中心人物で、新興感染症や潜在的な生物学的脅威に関する助言を米政府の行っている人です。
レルマン氏は、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の起源についてはほとんど分かっておらず、ウイルスの最も近い親戚は雲南省のコウモリから発見されたものの、最初の感染者は約1600キロ離れた武漢で確認されたと述べています。
このウイルスが人に感染した可能性の一つは、コウモリをはじめとする宿主となる動物が人間と直接感染した場合。もう一つは、宿主が別の動物を感染させ、それが人に出会って間接的に感染した場合とのこと。ふむふむ。
コウモリや宿主となり得る動物は中国全土に出荷されていることが知られており、武漢も含まれます。しかし、武漢やその近くに感染した動物がいたとしても、それはまだ公に特定されていません。発生源の動物そのものが武漢の周りでは見つからないということですね。
もしかしたら、雲南省やその近くで感染した動物と接触した人が武漢に持ち込んだのかもしれませんが、このウイルスの感染力の強さから考えて、最初に接触した場所付近で他の感染者が現れることが予想されるとレルマン氏は述べています。まあ、雲南省で感染した人や動物がその後誰にも接触せず武漢にやってきていたとしたら別ですが。
だとしたら武漢から発生したと考えるのが自然ですよね。だけどその動物は見つかってないんです。感染した人しか見つかってない。
レルマン氏はもう一つのシナリオを説明します。それは、ウイルスが人に遭遇する前に実験室にいたという場合です。武漢には、世界最大級のコウモリコロナウイルスのコレクションがあり、既知のコロナウイルスに知られていないコロナウイルスのゲノム配列を組み込んだ「キメラ」コウモリコロナウイルスを作り出す研究プログラムが盛んに行われているということ。その実験室で働く人が、事故などで感染し、ウイルスが実験室の外に持ち出された可能性はあり得るということです。
これまでSARS-CoV-2の起源を見つけるため、そのゲノム配列とそんなに近い関係のないコウモリ由来のコロナウイルスのゲノム配列まで、徹底的に分析されてきたとのこと。しかし、SARS-CoV-2の祖先に近いものはまだ見つかっておらず、2019年末に武漢で初めて人の発症が報告されるまで、どこからも確実に検出されていません。中国当局がコロナウイルスの実験室での研究に関連する記録やデータの公開を管理・制限していることが起源特定をさらに困難にさせているとレルマン氏は指摘しています。
WHOの報告書がいかに信頼できなかったものかは、2番目の記事で説明してありますが、研究所からの漏洩説は事故という観点からでさえも十分な調査が行われておらず、ほとんどが陰謀論に結び付けられていたそうです。あくまでも漏洩説を消すつもりだったとしか思えないですね。
コロナの起源を突き止めるという問題は、政治的な性質を持っているため非常に困難だとレルマン氏は言っているんですが、中国が相手なだけに…現体制が続く限りは、真偽を確かめることはできないでしょうね。
ということで、我々が勘繰りすぎているのかもしれませんが、漏洩説真実味を増してまいりました(怖)。続報があればまた書きたいと思います。