UK9報道部

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欧米に「耳かき」はない!乾いた耳垢は世界ではマイノリティ

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moritz320によるPixabayからの画像


上の子はイギリスに住んでいるんですが、先日日本から送ってもらいたいものとして、「耳かき」をお願いされました。イギリスに売ってないそうなんです。子供が現地友達に聞いたところ、イギリス人のほとんどの耳垢はウェットワックス(wet wax)、いわゆるベトっとしたやつなんだそう。綿棒を使って耳掃除をするのはそのためらしいです。

 

私も子供も耳垢は乾いてます。そういえば、私アメリカに住んでいたこともあるのですが、その時黒人の友達がたまたま「耳垢べっとりしてるんだよ」って言ってたの思い出しましたわ。どうも黒人だけじゃなくて白人もそうなんですね。知り合いになった外国人に耳垢のタイプなんか聞く機会なかったので知らなかった~。たまたま近くにいるイギリス人はドライ耳垢であることは確認してますが、やつが非主流派ということだったんでしょうか。

 

ということで、耳垢調べてみました!

style.nikkei.com

 

この記事に出てくる北海道医療大学の当時の学長、新川氏によれば、人間の耳垢は遺伝子によって、乾いて粉状になる乾型と、松ヤニのような粘り気のある湿型があるということです。海外で日本の先っちょスプーン的になった耳かきが見つからないのは、湿型の人が多いためで、綿棒文化なんです。ここまでは私の知識と合致。

 

そういえば私がすっごい子供のころ、綿棒ってなかった(やばい、歳がばれる)。お母さんがたんぽぽの綿毛みたいなのがてっぺんについた耳かきで耳掃除をしてくれていました。少し大きくなってから綿棒が現れ、以後自分でお風呂のあとに綿棒で耳掃除をするようになりました。

 

でもやっぱり綿棒より耳かきで掘るほうが断然気持ちいい!今は素敵な耳かきを使ってます。ネットで数年前に見つけて以来これ1本やり。ちょっとお高いんですけど、デザインかわいいし、何より掘っても耳が痛くならない!子供にもこれを送ろうと思っています。

 

 

 

話戻りますね。

我ら日本人の7~8割が乾型だそうなのですが、世界で見ると圧倒的に湿型が多いのだそうです。乾型が多いのは東アジアで、中国、韓国もほとんどそうらしいです。つまり耳かきでの耳掃除は東アジア的習慣ということなんです。

 

で、新川氏の仮説では、「もともと人間の耳垢はすべて湿型だったが、数万年前に中国北部やモンゴルの周辺で遺伝子の突然変異に伴い乾型の耳垢が生まれ周辺地域に広がった」ということです。

 

日本には、弥生時代以来、渡来人が乾型の遺伝子を日本に運び込んだと新川氏は見ています。湿型だった縄文人との混血が繰り返されて、やがて日本に両方の耳垢タイプが混在することになったということです。深い。

 

耳垢タイプの話は海外でも紹介されてますね。

 

www.sciencenews.org

 

やはりネイティブアメリカンや東アジア系は耳垢が乾いて白いと書いてあります。でもって、湿型の耳垢は黄色くてねばねば、そして臭いと書いてありますね。うわ、それはいやっ。

 

耳垢の臭いを研究している化学者(いるんですね、いろんな人)、キャサリン・プロコップープリッグ氏のチームの研究によりますと、脇の下の臭いと耳垢のタイプは同じ遺伝子がコントロールしてるんだそうです。ということで、脇の臭い人は耳垢も臭いということらしい…。

 

さらに耳から飛んで脇の臭いに言及されています。脇の臭いは、脇の下にいるバクテリアが脇から出る化学物質を食べて発生させるものらしいです。ところが乾型の遺伝子(ABCC11)を持つほとんどのアジア人、特に韓国人は体臭を発生させる化学物質を脇の下に持っていないということ。つまり私の大好きなヒョンビンの脇は臭くないってことです!きゃー、ますます好きになっちゃう(笑)。

 

一方欧州人の約98%はいわゆるワキガの遺伝子バージョンを持っているそうで、それに伴い耳垢の粘度と臭気が増しているんだそうです。乾型の人と湿型の人が持つ臭気成分のうち12種類が共通だったそうですが、白人男性の耳垢はそのうち11種類をより多く生成するそう。大きな違いがあったのは、「汗臭い靴下のにおい」がする2‐メチル酪酸とイソ吉草酸。そして「ヤギのようなにおい」がするヘキサン酸だったそうです。ヤギのにおいってどんな?と思いますが、実際に嗅いだことのある人によれば、絶対いいにおいではないことは断言できるとのことでした。これ、2011年に行われたまじめな研究の結果です。

 

最初の日経の記事に戻ります。記事の筆者曰く、耳垢と共通するパターンというのが、酒に強い=酒豪か、酒に弱い=下戸かというお話だそうです。もともと人間は酒に強かったのですが、中国で酒に弱い遺伝子が突然変異で登場し、周囲に広がったと。下戸の遺伝子がまたまた渡来人によって日本に伝わり、酒豪と下戸が混在する日本が生まれたそうです。

 

ということは、私の耳垢は変異した遺伝子によるものですが、酒の強さはオリジナル遺伝子ということになりますね(酒大好き!)。新川氏によれば耳垢と下戸の遺伝子に関連性はないとのことです。やっぱり。