世の中、インクルージョン(包摂、包括)という言葉がはやっております。日本語でもなんだか読みにくい&わかりにくい語ですが(汗)、人種、宗教、体形や外見まで、いろんな人の価値観や多様性を尊重して公平に受け入れることのようです。つまり、排他の反対ってことですね。
この観点から、様々な分野でインクルージョンの取り組みが求められているんですが、今日の話題はこちら。
じゃーん。
こちらは、アフロヘア用の水泳帽だそうで「ソウル・キャップ」というんだそうです。作ったのはマイケルさん&トックスさんという二人組なんですが、彼らのインスタによれば、黒人のお二人は、子供のころ水泳を習わず大きくなったそう。水泳は黒人スポーツと思われておらず、まわりにやっている人もいないし学校や親からも勧められなかったんだそうです。
そこで二人は2017年に一緒に水泳を習うことに。同じ教室で会ったアフロヘアの黒人女性がボリュームのあるヘアに水泳帽がフィットしなくて困っているのを見て、自分たちで作ろうと決めたのだそうです。起業したんですね。
ところが、この「ソウル・キャップ」は、国際水泳連盟(FINA)から承認されず、東京五輪などでも使用不可とされてしまったんですわ。これが大々的な批判を浴びまして、見直しの対象になったということです。
BBCによれば、FINAが認めなかった理由は、「頭の自然な形」に添っていないことだったらしいです。しかし「ソウル・キャップ」は、ドレッド、アフロ、編み込み、三つ編み、太い髪や巻き毛までにフィットして保護する仕様。他の髪質よりも乾燥しやすく、プールの水に含まれる次亜塩素酸ナトリウムでダメージを受けやすい黒人の髪を考えて作られているんです。頭の形より大事なのは髪。黒人にとってはかなり実用的ということですね。
実はヘアケアは黒人スイマーにとっては大変な課題であることを、イギリスの黒人スイマーがBBCに説明しています。普通の水泳帽は頭にフィットするものの、髪の毛の保護用につけているオイルのせいで滑ってどんどんずれてしまうのだそう。ちなみにイギリスの国内大会では「ソウル・キャップ」は着用可だそうです。
さらに問題なのは、イギリスでは白人の子供のうち29.3%が水泳をするのに比べ、アジア系21.9%、黒人20.1%となっており、人口比で白人のシェアがかなり高いスポーツとなっています。こうした差を是正するためにも、アフロ用の水泳帽が役に立つのではないかという意見もあるそうです。まさにインクルージョンですね。
しかし写真を見る限りこのキャップだとかなり空気抵抗が大きいような…。タイムはおそくなる気もしますが、逆に速くなるようなら反対意見がもっと出ているかもしれません。まあ男子は坊主にするという手もあるんですが、女子はそうもいきませんから、やっぱり必要なんでしょう。
この話題を読むまで、確かに黒人の水泳選手は少ないと気が付いていて、これは差別の歴史から来るものなのかなと思っていたのですが、本人たちが髪の毛の問題を抱えていたということを知りました。人種が違うと分からないこともいっぱいあるんで、このニュース大事だったかも。
東京五輪は、コロナに留まらず、選手のプロテスト禁止、トランスジェンダー選手の出場など物議を醸す話題が満載の五輪になりそうです。しかしアフロ・キャップ、誰も傷つけることにはならないみたい。ぜひ東京五輪でも採用してほしいと思います。