UK9報道部

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やがて「ただの風邪」へ。新型コロナはどう収束するのか?

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Orna WachmanによるPixabayからの画像

全国的にコロナ感染者数減ってきましたね。

ワクチン接種も進んでいます。日本政府はワクチン確保でグッドジョブ、日本の死者や感染者数は依然として他国と比べれば少ないですし、オリパラもやって国際貢献で、菅さんは言われるほど悪くなかったかなと。個人的には、顔に花がなかった&コミュ力不足が響いたんではないかと思います。次の総理は誰がなってもやはりまずはコロナ対策ですね。

 

さて、国外を見ますと、ワクチン接種をいち早く開始して普通の生活に戻れる公算だったアメリカに、デルタ株の感染拡大でまたもや大波がやってきております。ワクチンだけで解決できないことが分かった今、いったい今後どうやってパンデミックは終わりを迎えるのかという記事がでています。

 

www.theatlantic.com

私の大好きなアトランティック誌のライターEd Yongの記事です。コロナ関連でとても分かりやすく的確な情報を発信し続けており、その功績でピュリッツァー賞を取ってます。科学ジャーナリストですが、動物ものなんかも得意ですね。

 

記事では、ワクチン接種が進んだものの、デルタ株登場でワクチンだけでの問題解決は現実的ではなくなったと述べています。ブレイクスルー感染や子供の感染の増加が深刻なんですが、この次はどうなるかというのを専門家に聞いています。いつものようにざっくり訳でいきます。

 

ロンドン大学衛生熱帯医学大学院のアダム・クチャルスキー氏は、ワクチン接種率が上がると、感染の波は小さくなり、管理しやすくなると言います。しかし、十分な人口が免疫を持ち自動的に感染が収まる状態=集団免疫には、ワクチン接種だけでは到達しそうにないとしています。最低でも人口の90%が接種しなければ集団免疫は達成されないと見られ、現在利用できるワクチンでは数学的にそれは不可能です。

 

つまり、ゼロ・コロナは幻想であり、パンデミックの終焉は、ほとんどの人がワクチンか自然感染を通じて、免疫を持ったときとなります。そうすれば、感染の急増のサイクルは止まり、パンデミックは次第に消滅します。そして新型コロナは風邪を引き起こすコロナウイルスと同様に繰り返し起こる生活の一部ととなります。今までよりも問題にならなくなるのは、ウイルスの性質が変わったからではなく、ウイルスがもはや新型ではなくなり、人類が免疫学的に脆弱ではなくなったからということになります。

 

クチャルスキー氏は2020年3月から新型コロナはエンデミック(地域的、季節的な感染)になると述べていましたが、結果的にそうならざるを得ないとしています。以前はゼロは目指せると思っていたそうですが、デルタが状況を変えてしまったということです。

 

私の同僚、ジェームズ・ハンブリンは、ウイルスが今後も存続し続けるのであれば、ほとんどの人が生きている間に一度はどこかで遭遇することになるとしています。多くの人が懸命に感染を避けようと努力してきたので、この事実は受け入れがたいかもしれません。しかし、エモリー大学の感染症専門家ジェニー・ラヴィーン氏は、ウイルスだけでは恐ろしくないと言います。問題はウイルスと未熟な免疫システムの組み合わせであり、後者がなくなればウイルスはそれほど怖いものではないとしています。

 

ワクチンを接種することで、新型コロナウイルスとCOVID-19という病気を切り離すことができます。いずれはワクチン接種済みでも感染してしまいますが、その結果重症になるには及びません。不快な症状が出る人も回復するでしょうし、多くは感染しても気づかないままでしょう。将来的には、2年前と同じような生活が戻り、誰かに移され治るという時代が来るでしょうが、まだ我々はそこまで到達はしていないとラヴィーン氏は話しています。

 

私が話を聞いた専門家で、いつそのような状況になるのかを予測した人はいませんでした。デルタ株が夏の間にワクチン未接種者に行き渡ることで今後の感染急増はないと見る人もいますが、まだワクチン接種をしていない人が多いため、秋、冬の感染急増もあると、ジョンズ・ホプキンズ大学のケイトリン・リバーズ氏は見ています。

 

パンデミックは終わりますが、まだ世界の多くの国ではワクチン接種が進んでいないため、こういった国にとっては今年はロックダウンや壊滅的感染拡大などの厳しい年になるだろうとクチャルスキー氏は述べています。英米はエンデミックの道に向かっているものの、まだ終わりは見えておらず、今後も困難が待ち受けているとしています。

 

結局人類は新型コロナとの微妙な平和に向かうでしょう。集団感染はよりまれで小規模になるが、免疫力のない赤ちゃんが多く生まれれば発生の可能性はあるでしょう。大人の場合は免疫力が大幅に低下した時点でブースターが必要になりそうですが、少なくとも現在のデータによれば、2年は起こらないでしょう。ただ、懸念されるのは現在の免疫防御を逃れる新たな変異種の登場で、ウイルスの拡散を許せばその可能性は高まります。

 

「コロナはただの風邪」という人がいますが、そこまで行くには、ワクチンと自然感染で人間の免疫システムがコロナ慣れしないとダメということのようです。しかし、2年はブースター不要っていうのは「ん?」です。コロナがただの風邪になった未来の話なんでしょうか?今はワクチン効果は6か月と思っていたので、ちょっとその辺が謎です。1か月前の記事なので、その間に状況が変わったんでしょうかねぇ。

 

実は、「コロナは風邪になる」とドイツの疫学者、クリスティアン・ドロステン氏も言っています

 

 

ドイツ語のポッドキャストの内容を英訳された方のツイートですが、やはりワクチンでエンデミックになるとドロステン氏は言っています。そもそも集団免疫とウイルス撲滅のゼロコロナを混同する議論があるが、ゼロコロナをゴールとしたことはないと述べています。

 

ドイツでは、ワクチンで人口レベルの感染からの保護を達成した後、ウィズコロナで生きることを目指します。ウィズコロナはワクチン接種が不十分な間は危険で、まず死亡率を下げてウイルスが静かに人口のなかに広がることが必要です。普通の風邪になるかは国民次第、そしてワクチン接種率次第ということです。

 

ワクチン効果が薄れることでブースター接種という考えもありますが、ブースターを繰り返すことを目的とはしていません。エンデミックになるということは普通の風邪を目指すことですが、ブースターではなく、ウイルスとの繰り返す接触によってできる状況で、これにより集団の免疫力はより回復力を持ちます。こっちのほうがより長持ちして強い粘膜免疫を作ります。

 

私が望む免疫は、ワクチンで免疫を作り、その後1回、2回、3回と一般的な感染をすることです。そうすれば私は長期的な免疫を獲得し、新型コロナウイルスには数年に1度、他のコロナウイルス同様に遭遇するだけになります。これは健康な成人だけができることで、全員ができるわけではありません。

 

ちなみにドロステン氏は、ブースターを受けられるならぜひ受けたいということ。ただし、途上国の接種分のために今は遠慮しておくということでした。

しかし、ワクチン後に自然感染で免疫力アップというのは、ちょっと怖い気もしますね…。どうもドロステン氏は粘膜免疫は自然感染からのほうが付きやすいと考えているようです。

 

とにかく、早くコロナがただの風邪になり、みんなで会って楽しく過ごせる日が戻ってくることを願います。そのためにもまずはワクチン接種ですね。