UK9報道部

良質な「コタツ記事」を目指します。海外ニュースがメイン。

ロシアを利する可能性も。ロシア人観光客のビザ発給禁止にEUの意見分かれる

 

なんと久々の投稿になってしまいました。

えーっと、前回記事は書いたの5月だったみたい…。

なんでご無沙汰していたかといいますと、まずイギリスにいる娘が一時帰国して、そこからなんかルーティンが変わってライターの仕事が滞ってしまったので、6月ぐらいからそっちを通常モードにもどし、ブログはサボってました(へへへ)。加えて持病のストレートネック(スマホ首と一般に言われるやつ)が悪化し、ずっとPCの前にいると肩や腕まで痛くなってしまうので、原稿料がもらえないブログはお休みしてしまっていたのでした(悲)。

 

浮いた時間で何してたかというと、ネトフリ見てました!もう、『呪術廻戦』 から韓ドラ、『ストレンジャー・シングス』と、見るわ見るわ(笑)。『進撃の巨人』も最終話まで一気見だーっ、と思って見まくったら、なんとファイナルシーズンの最終話までいったのに終わってなかった(衝撃っ)。最後10分で全然終わる感じないのでもしや…と思ったら案の定でしたわ。続きが年末ぐらいからあるようです。それ、最初に行ってほしかった。そのころには話忘れてるのほぼ確定。おばさんなので、間が空くと前の話を見直したりするんですが、あれだけ長いともう戻れん(涙)。

 

さてさて、今日のネタですが、まずはちょこっと前に書いたものを掲載。

newsphere.jp

ウクライナ人が苦しんでいるときに、ロシア人が欧州のシェンゲンビザを利用して、海外旅行を楽しんでいるのはけしからん!ビザ発給はやめるべきだ、とゼレンスキー大統領が言い、一部のEU加盟国がそれを支持してEUの会議に議題として持ち込んだというお話です。この記事の時点でも意見が国によって分かれていたわけですが、ついに結論がでました。結果からいうと、観光ビザの全面禁止には至らず。EU内で妥協して、ビザ発給の手続きをこれまでより難しくし、時間もかかるものにしましょうということで、とりあえずまとまったようです。

 

この決定に反応して出された記事がこちら。

time.com

 

www.cnn.com

www.themoscowtimes.com

欧州でも依然として意見は分かれているということですね。タイム誌によれば、ロシア人が隣国フィンランドにお買い物旅行に来るというのは侵攻前からよくあることだったようですが、現在制裁で西側の物資が手に入らないので、買い出し旅行が行われているそうです。また、航空機が止められてしまったのでフィンランドエストニアを経由した海外旅行も盛んで、侵攻以来1000万人がこの方法で海外に出たということです。かなり多いですね。

 

一般人ならいいでしょ、と寛大な気持ちにもなれるんですが、なかには観光客を装ったロシアの工作員の場合もあり、懸念されているということ。さらに、現在観光旅行を楽しめているのは都市部の経済的に余裕があるロシア人で、戦争の影響を実感していない層です。こういった人が簡単に国外に出られなくなれば不自由を感じ、その不満が露の政策に反映されるという期待もあるそうです。バルト三国ポーランドなどはビザ全面禁止に賛成だったので、EUとしての決定には不満で、独自に厳しい制限をするという態度も見せています。国境を接しているので切実でしょうね。

 

一方ドイツ、フランス、スペイン、ギリシャなどは、一般人を擁護する姿勢を見せ、ビザ発給を禁止すれば反体制派の活動の妨げとなるとも述べています。ロシアではパスポート保持者は全国民の3分の1以下で、果たして効果があるのか疑問という声もあり。むしろビザ禁止で「欧州人はロシアが嫌い、だから戦争をしかけられている」というロシア政府のプロパガンダに利用される恐れさえあるとしています。

 

CNNによると、ハンガリーなどが強烈にEUによる一斉禁止に異議を唱えたようです。EUのボレル安全保障政策上級代表は、この件では欧州の結束を見せることが大事で、妥協の産物とは言えビザ取得を難しくしたことは評価すべきという考えです。基本的に政府と関係のない人と人との交流は続けるべきとしており、ロシア人を国内に閉じ込めてしまうことで、逆に国民の西側への反発&政府への支持が高まり、若い世代を民主主義から遠ざけてしまうことにも成りかねないとしています。

 

モスクワ・タイムズに寄稿したケナン研究所(ロシア研究で名高い)のアンナ・アルトゥニアン氏は、EUのやろうとしていることはロシアを利するだけだと厳しい意見です。そもそもロシア人は侵攻以来国外に大量流出しており、むしろロシアは観光ビザで海外に出る頭脳流出を心配しているはずだと指摘。ビザを制限すればロシア政府の仕事の代行になってしまうと述べています。

 

さらにロシア国民は、侵攻当初はロシア政府が国境を閉鎖して国民を閉じ込めることや西側製品を禁止することを恐れていたのに、今では欧州がロシア人の出国を困難にし、民間企業にロシアからの撤退や販売停止を促す状態になったと指摘。これでは「西側はロシアを嫌っている」というロシア政府が望むメッセージを送ることになるとしており、この部分では独仏などの「効果は疑問」という考えからさらに進んで「効果なし、むしろ悪影響しかない」という意見です。

 

アルトゥニアン氏は、ロシアはすでに権威主義から全体主義体制に移行したとし、国内で大規模な抗議活動が見られないのは脅迫と孤立という全体主義政府の古典的戦術があるからで、ロシア人を国内に閉じ込めても人々が民主的な変化を求めることはないとしています。ということで、EUのやっていることはプーチンをうまく罰することができない鬱憤をロシア人にぶつけているだけで、政策的な効果やコストを全く無視していると主張しています。うーん、確かにそう言われるとそんな気もする。ただ、アルトゥニアン氏から具体的にもっといい策が出ているわけではなく、単なる批判になっているのは残念です。

 

ちなみに、すでに1200万人のロシア人がシェンゲンビザを持っており、26カ国の国境を越えられる状態だということ。ここの部分はどうなるんでしょうか?ビザ切れまで待つのかな?ロシア政府は、欧州の対応には報復もあり得ることを示唆しており、相変わらずの強気です。