UK9報道部

良質な「コタツ記事」を目指します。海外ニュースがメイン。

中国の援助にタリバン期待!でも中国は意外と冷めているかも…

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ErikaWittliebによるPixabayからの画像

前回の記事、結構読んでいただけたようです。コタツ記事ライターとしては大変うれしく思います。 なので本日続き。

今日は東京大学の鈴木一人先生のツイートからネタ拝借。

 

アメリカが去ったあと、中国がタリバンへの影響力を強めるという見方が多いのですが、タリバンのほうも歓迎のようです。

www.reuters.com

タリバンの広報担当者の話なんですが、平和と和解を促進することにおける建設的役割だけでなく、国の再建への貢献も中国には期待してるそう。中国の王毅外相は穏健なイスラム主義政策をタリバン側に求めたということですが、どうなんでしょう?当面中国はアフガニスタンにとっては重要なプレーヤーとなることは間違いないようです。

 

しかし、中国の中にはとっても冷静な意見があるようです。

m.aisixiang.com

なんと、コタツライターは中国語にも堪能だった!わけないでしょ(笑)。以前シンガポールに住んでいたので中国語が聞こえてくると音はわかりますが、意味はさっぱり。現地の友達の名前さえ10年以上発音間違って呼んでましたし…。ましてや文章などレストランのメニューぐらいでも半分以上分かんないですっ。

 

実は翻訳ソフトDeepLを使うと、かなり素晴らしい日本語になるのでした。これまでの使用経験から大幅に間違っていないと思いますので、訳して読んでみました。著者は梅新育(メイ・シンユ)さんという経済学者で、中国商務部の国際貿易専門家だそうです。その概要が以下です。分かりにくいところは勝手にこうであろうと思って書いてるのでご承知ください。

 

中国は米軍の敗北という喜びに浸ってはならず、アフガニスタンが平和に発展し、無限のビジネスチャンスがある国だと思ってはいけない。目を覚ましてアフガニスタンの歴史を学ぶ必要がある。

 

アフガニスタンというのは、社会的結束力が弱く、国家より部族や宗教のアイデンティティが重んじられ、さらに宗教より宗派のアイデンティティが強い国だ。よってアフガニスタンの歴史は、裏切り、陰謀、宮廷クーデター、内戦、人気政治家の反乱に対する脆弱性といった分かりやすいものだった。なので、タリバンがしばらく政権を維持したとしても、これまでに奪った戦利品を使い果たしてしまえば経済的圧力をうけることになり、それは遠いことではない。

 

過去2世紀のアフガニスタンの混乱は、戦争と略奪という伝統的な「捕食国家」システムがすでに廃れてしまっているのに、現代社会に対応できる持続可能な経済・産業基盤を構築できなかったことが原因だ。

 

よって政権交代アフガニスタンの慢性的な食糧問題を悪化させる。アフガニスタンでは食糧生産量は1978年をピークに減少。2001年に米軍がタリバン政権を倒してからは環境改善と国際援助で食糧生産は大きく回復したが、人口も増加したため一人当たりの食糧生産量は結局減少している。

 

需要と供給のギャップは、この20年間国際援助で埋められ、それは欧米からが主だった。しかし政権交代で、援助は削減、停止されており、欧米とインドからの援助は当面再開されない可能性が高い。新政権は食糧問題でかつてないほどのプレッシャーさらされている。

 

アフガニスタンの非農業分野の開発環境も厳しい。過去20年間は建設業が最大の成長分野だったが、建設需要のほとんどは国際援助の投入によるもので、政権交代後はこれらの産業のほとんどが停止する。一部で期待されている鉱物資源にしても、大規模開発には治安と秩序の維持が10年は必要だ。さらに山間部や高地での開発にはインフラ整備が必要で輸送コストも法外だ。よって過度の期待は禁物である。鉱物資源が豊富だと言われていても、アフガニスタンの経済・社会全体を困難から引き上げるのに十分とは言えないだろう。

 

さらに国際関係が鉱物資源開発の大きな障害になっている。過去にソ連の援助でガス田を稼働させたが、1970年後半からの戦争で天然ガスの生産は急減。そのうえパイプラインはタリバンとの関係の良くない中央アジア諸国につながっている。インドやパキスタンに輸出を転じても、生産量が不十分で、新たなパイプラインへの投資をカバーできるほどの販売収入は見込めない。

 

アフガニスタンは「文明の十字路」にあり、一帯一路構想に重要だという主張も密室での空想だ。アフガニスタンは15世紀以降、国際貿易システムの中で完全に疎外されており、これが社会の孤立化、退化、部族化を加速させた原因だ。輸送システムの現代的発展で、アフガニスタンが国際貿易システムから疎外されている傾向はむしろ悪化しており、一帯一路にはあまり重要とは言えない。

 

中国は2001年からアフガニスタンに多くの援助を行ってきたが、政権交代後はプロジェクトのかなりの部分が失敗する可能性があり、育成した技術者や専門家も海外逃亡すると思われる。

 

以上のことから、中国はアフガニスタンの内政に干渉すべきではなく、国民の選択を尊重するべきだ。ポスト米国時代の経済・貿易については冷静かつ客観的に判断する必要があり盲目的に反故にしてはならない。短期的には、支払いと安全が保証されているという条件で、生活必需品をアフガン市場に積極的かつ安定的に供給することはできるが、大型投資は減速すべきだ。

 

ということです。近隣国だけによく研究してたんですね。欧米メディアは中国がどしどしアフガニスタンにやってくるかのような見方をしているところもありますが、商務部の一人の専門家の意見とは言え、やはり中国はしたたか。「帝国の墓場」と言われたアフガニスタンで、ホイホイとアメリカの代わりを引き受けるようなことにはならないようです。

米撤退は中国にもマイナス。アフガニスタンでタリバン政権復活か?

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David MarkによるPixabayからの画像

日本全国大雨のお盆ですが、海外でもいろいろトラブルがありますね。

コロナは国内で入院できないほどの感染大増加。ハイチではまた地震。そしてアフガニスタンからの軍撤退を決めていたアメリカは、タリバンの猛攻勢で予想外に早そうな首都カブールの陥落を前に、大急ぎで大使館職員らの退避を進めているようです。

 

アフガニスタン情勢って、しばらく忘れてました…。なので短くおさらい。そもそもアフガニスタンって王政から共和制に1973年に移行。その後紛争が続き1996年にタリバンがカブール占領するもまたゴタゴタ。オサマ・ビン・ラディンアルカイダを匿っていたタリバンアメリカが攻撃し、アメリカに守られた新共和国が2001年に成立。しかしずっとタリバンも粘っていてなくなったわけではなかった。で、いつの間にやらトランプ政権時代にアフガニスタンから米軍は完全撤退することが決まっており、徐々に撤退が進行。タリバンのほうは攻勢を強めて現政権は崩壊しそうな勢いなんですが、今のバイデン大統領がそれでも撤退すると言い切ったわけです。

 

その理由はこちら

jp.reuters.com

 

現時点でもグダグダで米兵の犠牲が多い戦争は勝ち目がないと見限って泥沼化する前に出ていこうと思ったようです。

 

じゃあこれからアフガニスタンはどうなるの?と思って、いくつか記事を読みましたところ、なかなか興味深いことが分かってきました。ソースは以下。

www.reuters.com

www.wsj.com

warontherocks.com

 

世界の警察アメリカがいなくなると、当然アフガニスタンタリバンの手に落ちそうです。アメリカを狙うテロが復活する心配もあると思うんですが、実はアメリカが出ていくことで困ってしまう国があるようです。

 

記事に書かれていたのは、ロシア、中国、パキスタン。ざっくり説明するとこれらの国はイスラム過激派が台頭すれば、自国もイスラム教徒を抱えているため、治安上の心配が増してしまうということです。今までアメリカがアフガニスタンを見張ってくれていたために助かっていたわけですが、撤退されると今後は自分たちでその危険の目を摘む必要があるわけです。

 

で、もっとも微妙なのが中国。中国はすでにタリバン幹部と会い、この感じだとタリバンが軍事力で政権を奪ってしまえば、それを承認するんじゃないかと言われています。中国は、ロシアやアメリカと違ってタリバンと戦争をしたことがない大国です。すでに大型投資や援助をタリバン側に約束しているとも言われ、経済で懐柔するつもりのようです。

 

タリバンにとっても、中国は他国の内政には干渉しないという政策を取っている上に、中国から信任されることで国際的な政権の正統性を確保できる、アメリカなどを今後けん制できるという利点があると見られています。

 

しかし、アメリカの撤退は中国の対外政策に大きな不安をもたらす可能性も指摘されています。中国の一帯一路構想は、パキスタン、イラン、ロシア、中央アジアなどに展開していますが、米軍が去ったあとアフガニスタンから暴力が広がることで不安定になるのではないかという見方もあります。

 

これまで中国はアフガニスタンでの鉱山や油田への投資で大失敗をしているとのこと。ただでさえ面倒なことだらけのアフガニスタンのプロジェクトなのに、政治的な不安定さと安全保障上の脅威がどうしても投資拡大を妨げるということです。ここでも米軍撤退がマイナスになっており、今後大規模投資が促進するとは思えないという意見があります。

 

政権を取れば、タリバンは過激派的な政策を抑制するという考えもあるようですが、タリバンの近代化ついては中国内でも不安視されているとのこと。ただ、中国政府はアフガニスタンにおいてはタリバンと協力するしか他に選択肢はないと考えているようです。

 

アメリカも中国においしいところだけ取られてたことに気づいたんですかね。米中対立してますので、地理的にも遠く、経済的メリットもないアフガニスタンに長居するより、中国に任せてお手並み拝見というのもアメリカ的には確かにありのようです。世界の勢力図にも影響を与えそうなアフガニスタンからの米軍撤退、今後を注視です。

感染者数減ってる?経済再開したイギリスの新型コロナ感染状況

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Rudy and Peter SkitteriansによるPixabayからの画像

実は私、ワクチン接種2回終了しております。6月に入り、自衛隊の大規模接種会場に高齢者の予約が少なくて枠が余っており、高齢者じゃなくても予約可能になったという報道がありました。そのニュースを見た翌日ぐらいになんと接種券が到着。せっかくワクチンがあるのに時間枠を余らせてはもったいないと思い、自衛隊の予約サイトに行ったところ、余裕で予約できました。わが自治体のファインプレー!のおかげで私にもおこぼれが回ってきたわけです。

 

で、1回目は6月後半に受け、腕が痛くて若干ぼーっとする(酒飲んだからかも…)以外は副反応なし。「やっぱりおばさんだから反応薄いんだわ~、ワクチンちょろい」なんて思っていたわけですが、2回目は違いました。五輪が始まったころに受けたんですが、当日は腕が痛い以外は全くなにもなし。しかし翌朝起きたら結構な筋肉痛&関節痛で、慌てて体温を計ると37度でした。そんなに高くもないので、そのまんま横になってたんですが、なんかだんだんぐったりしてきて、また体温測定をしたところ37.7度。完全に発熱してました。

 

ネットとか見てると40度近くになっている人もいたので、私も?と思い不安になってきました。横になってるしかないので、テレビつけっぱなしでそのまま五輪観戦に突入。幸いなことに熱が39度近くなったところでノーシン飲んで救われ、あと体が痛いだけで頭痛はなかったので、ワールドクラスの戦いを満喫してしまいました(笑)。

 

その夜には熱も下がって、結局大事には至りませんでした。これから接種される方は、2回目の後は何もしなくていいように前日に業務を片付け、接種後は寝る・横になるだけ態勢を整えられるとよいと思います。会社もできればお休みが安全ですね。

 

さて、本日はイギリスのコロナ状況。ワクチン接種率が高いため、経済再開したのですが、マスクもなければパブも大入りでコロナ前に戻っており、これだと感染すごい増えるんではないかと心配していました。政府は感染増えても死者は増えないという考えのもと、10万人感染しても許容としていましたので、個人的にはすごいギャンブルだと思っていました。

 

ところが、感染減ってたんですわ。

www.bbc.com

 

これ6日前ぐらいの記事ですが、5日連続で減少とのこと。原因としては、政府のデータの更新に遅れがあるからではないかとBBCは指摘しています。7月19日にロックダウン全面解除でしたので、今の段階ではその影響は感染者数には表れないということです。

 

その後、7月29日付け記事ですと2日連続で増えてますね。やっぱり…。

www.theguardian.com

一時感染者数が減ったのは、実は検査数が減ったからという指摘があります。専門家の話ですと、約20%ほど検査数が減っていたということです。政府のデータでも7月22日から28日まではその前の7日間と比べ14%強減っているということですね。

 

検査が減った理由ですが、ユニバーシティ・カレッジ・ロンドンのヒュー・モンゴメリー教授によれば、症状があって検査を希望する人が減ったということもありますが、検査を避けている人が増えていることも考えられとのこと。そのため感染者数が減少しているように見えたのかもということです。

 

検査を避ける理由として、なんと「夏の休暇旅行に行けなくなるかもしれないから」が指摘されています。この辺イギリスらしいですよね。かかっても、どうしても夏は出かけたいらしい…。

 

モンゴメリー氏によると、ワクチン接種率も横ばいになっているそうで、75~79歳の95.5%が少なくとも1回は接種を受けているのに対し、25~29歳では59.9%にとどまっているそうです。92人の予約に対し実際に来た人は8人という接種会場もあったそうで、打たなくても平気っていうムードになってるんでしょうか(汗)。多くの人が完全にワクチンを接種していない状態で制限解除をすると、あらたな変異株ができるという懸念もあるそうです。

 

レディング大学のサイモン・クラーク博士は、現在のデータセットは「カオス的」であり、様々な要素が同時期に合体したことを反映しているとしています。制限解除直後ですから確かにそうでしょうね。全体的な傾向として、感染減少となっていることに希望が見出されているが、たった数日の感染数で将来は予測できないとクラーク博士は述べています。さらに今後のデータを注視する必要があるといえます。

 

日本は間違いなく現在感染爆発ですね。東京は感染者数4000人を本日超えたということですが、こちらも検査が足りていないのかもしれず(五輪のほうに検査キャパが回ってるという説も)、実際はもっと多いのかもしれません。

 

日本の接種率はイギリスほどではありませんが、あと数か月でかなり高くなるのではないかと思います。インパクトのない緊急事態宣言がまた各地に出ることになりましたが、もう少しワクチン接種が増えるまで、人との接触を各自が減らしていくしか策はないと思います。私も飲み屋に行く夢はもう少し先まで取っておき、引き続きマスク着用でがんばります。

 

小山田君の件で思い出したこと。

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私は若いころレコード会社に勤めていて、少しだけフリッパーズ・ギター時代の小山田君を知っています。「カメラトーク」が出た後ぐらいまでしか知らないけど、その後私は会社をやめてアメリカに行って、その間にグループは解散したようです。日本に帰ってきたら、いつのまにかもう一人のフリッパーズの小沢君は王子様になっていて、小山田君は通の人が好きそうな、おしゃれなミュージシャンになっていました。

 

フリッパーズの前身は別の名前のバンドで、デビュー前に二人になりました。最初のアルバムは全曲英語。ブリティッシュっぽい曲に小沢君の甘酸っぱい歌詞と小山田君の無邪気な少年っぽい声が素敵な、アズテックカメラを思わせる日本には珍しい感じのサウンドでした。演歌やアイドルが売れ筋だった当時のそのレコード会社にとっては不似合いな存在でしたね。

 

思った通り評判になり、当時雑誌社や新聞社を回っていた私が見本版を渡すと、編集者や記者の皆さんはたくさんレビューを載せてくれました。いつもは全く私の持ってくるものなど聞いてくれないスポーツ新聞社のおじさん記者さんが、レビューを書いていたのに驚かされました。多分読者層には全然あってなかったんですが(笑)、常日頃いろいろ聞いていたその人には、響くものがあったんだとそのとき感じました。フリッパーズ・ギターって、多分音楽好きな人にとって画期的だったんです。

 

彼らは、レコード会社内でも特別な存在でした。彼らのプロデューサーもまたおしゃれな経歴の方で、二人を大事にしていたようです。会社もお金をたくさん使っていました。ジャケットや販促物も豪華でしたし、海外レコーディングにも出かけていました。ほかのプロデューサーがそのことをどう思っていたかは大体わかっていましたけど、特別だったんです。

 

話は変わるのですが、私は小山田君の件で自分の中学生のころの事件を思い出しました。3年生の時、卒業アルバム委員みたいなのになり、アルバムに載せた写真にいろいろキャプションをつけるという係でした。私は面白おかしくするために、結構きわどいキャプションをつけたりしていまして、そのなかの一つを見た担任の先生がそれを差し替えるように私に言われたんです。

 

写真は男子が走っているもので、ちょうど角度の影響で片足の半分が見えなくなっていました。そこにつけたキャプションは、今考えると趣味の悪いブラックジョークみたいなものでした。先生は、「このジョークがもし将来現実になったら、書かれた人を一生傷つけることになる。あなた自身も一生悔やむことになるよ」と言われたんです。

 

私はその先生は好きではなかったし、子供だったのでその時はむっとしつつトーンダウンしたものに直しました(それでもひどかったけどマシでした)。その後冷静に考えてみると、先生の言葉は言い返すこともできない全くの正論でした。自分は人のことなんか何も考えずなんて恐ろしいことをしていたんだろうと思いました。そう思ったら時間が経つとともに怖くなって、ほかのものまで全部直したくなりました(結局他は直しませんでしたが)。今でも罪悪感があって、アルバムは見たくありません。

 

あれから何十年も経ちましたが、私は先生が叱ってくれたことで、救われたと思います。別に有名人でもなく平凡に生きていますが、卒業アルバムという後々残るものに完全にアウトなものを残さず済みました。思春期の子供とは言え、人としてやってはいけないことを指摘してくれた先生に、今では感謝しかないです。

 

小山田君がいじめをしていたという過去は消えません。また、雑誌で繰り返し面白ネタとして披露し、自分のやったことのひどさを気にしていなかったという事実も消えません。あの内容を記事にしたロッキングオンの編集者さんは謝罪されていますが、当時彼も会社も記事にすべき内容ではないと思わなかったようです。だから世に出てしまった。小山田君が反省していようといまいと、掲載してしまったことは編集者、出版社としての責任欠如でした。これはまた別の問題。

 

一方、雑誌になったとき、小山田君の周りのスタッフで「これはダメでしょ」と言ってくれる人もいなかったのだと思います。担当の宣伝マンならたとえ原稿を見せてもらえなかったとしても、雑誌は読んでいるでしょうし、クイック・ジャパンの記事の場合はその企画内容を事務所の人も知っていたと思います。

 

もし誰か彼に近い人が、すでに傷つけてしまった人をもっと傷つける行為だと激しく注意してくれていたならよかった。有名人だけにその行動が見ず知らずの他人にすべて届いてしまう可能性もあると、それがキャリアに害を及ぼすこともあるんだと教えてくれる人がいればよかった。そうだったなら、その時点で彼も気が付いたのではないでしょうか。

 

小山田君の私のなかのイメージは、20代前半の若く瑞々しいものですが、最近の写真を見たらすっかりおじさんでした(私がすっかりおばさんのように)。結婚して大きなお子さんまでいるのも不思議でもないですね。少しだけ彼の曲を聴いてみましたが、おしゃれでかつ凝った実験的な感じで、音楽家としてはちゃんと成熟していたんだなと感じました。

 

残念なのは、彼の才能を評価する取り巻きは多くても、彼を人として成長させてあげようという人に恵まれなかったことだと思います。彼をたたく人も多いのですが、たまたまある時期を同じ空間で少しだけ過ごしたものとしては、今からでも反省し償い、やり直してほしいなと思うのでした。

 

追記:昨日公開したのですが、少し手をいれました。内容はほぼ変わっていません。小山田君は五輪の音楽担当を辞任したようです。過去は消しようもないものですから、しっかりけじめをつけてこれからの活動に反映させてくれることを希望します。そして当時の彼に関わった人も皆、関係ない、語りたくないという気持ちはわかりますが、自分のなかだけでも反省してほしいですね。

アーティストから搾取のストリーミング。英報告書、制度のリセットを求める

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whoalice-mooreによるPixabayからの画像

最近仕事の合間にお散歩をするようにしてるのですが、その間に音楽を聴くようにしています。実は私、学生時代は洋楽にどっぷり浸かり、その勢いでレコード会社に勤めていたこともあります。すぐ辞めましたけど。趣味と仕事はなかなか両立しなかった(笑)。

 

家族でアップルミュージックをやってるので、4人で1500円ほど。たまに聞けない曲もありますが、最近は減ってきましたね。時代の流れで、前にストリーミングに楽曲を出さなかったアーティストも出すようになってるみたいです。昔お小遣いをせっせとためてLPやCDを買いに行っていた時代、そしてダウンロードに1曲いくらでお金払っていた時代に比べると素晴らしく便利で効率的、そしてお得感が高まりました。

 

しかし、ストリーミング時代に入ったことにより、アーティストのほうはえらいこっちゃになっているそうです。概要はこちら記事で。

 

newsphere.jp

 

イギリスでの話ですが、各国でも調べると同じ話題が出てますね。ストリーミングのお金の流れはかいつまんで言うと、アップルミュージックやスポティファイなどのプラットフォームが利用者から回収し、30%を自社の取り分とする→残りのうち15%は音楽出版社が、55%はレコード会社がゲット→レコード会社は取り分のうちの20~25%(13~16%程度という話も)をアーティストに支払う。ただし、事前に投資分としてアーティストに前払いしている額を差し引くので、借金があるうちはアーティストには一銭も入らない、というわけです。しかもアーティストが受け取るのは1ストリーミングあたり30銭から90銭ぐらい。明治時代なの?為替レートなの?と思うぐらいの単位の額で、これじゃ食えないよと怒りが爆発しているとのことでした。

 

イギリスでは音楽産業は大切な輸出産業でもあり、これはまずいんじゃないかということで、デジタル・文化・メディア・スポーツ省(盛りだくさんですね、DCMCと略します)の委員会が6か月を費やしてアーティストを含め関係者への聞き取りをして、現状を調べてきたわけです。その報告書が出たことを、BBCが報じております。

www.bbc.com

 

結論からいきますと、報告書は現在の制度は完全なリセットが必要とし、ロイヤルティ(印税など権利料)はレコード会社とアーティストが半分ずつにすることを求めています。ストリーミングが業界に多大な利益をもたらす一方、それを支える演奏家、作詞家、作曲家が損失を被っているとDCMC委員会の委員長は述べ、収益の公正な分配を受ける権利を法律で規定すべきとしております。

 

実は、制度改革にはこれまでがっつり現行のルールで稼いできた、ミック・ジャガーポール・マッカートニーなどの大御所アーティストたちも賛成しているんですね。音楽プロデューサーのナイル・ロジャースも、ストリーミングの懐具合は秘密に包まれているとし、その価値を理解できないと批判しました。

 

また、プラットフォーム側もすでに収益の7割をレーベルとアーティスト、出版社に渡しているため、制度変更の受け入れには前向きとしています。委員会からサービス自体への批判はほぼなかったとのことで、むしろ権利料を払わず音楽を使っているYouTubeTikTokFacebookなどのほうが問題視されています。

 

一方大手のソニー、ユニバーサル、ワーナーミュージックは、ロイヤルティ半々で折半というアイデアには抵抗しています。もともと半々という分け方は、イギリスではラジオやテレビで楽曲が再生された場合に適応されており、これが最も妥当な解決策と報告書は結論しているんですが、レコード会社のほうはストリーミングは「史上最高のレコード店」であり明らかなセールスであるとし、ラジオとは一緒にできないと主張しています。

 

レコード会社の業界団体、英国レコード産業協会(BPI)は、ストリーミングのおかげでアーティストが長期的に持続可能な収入を得られるようになったとし、新たな才能への投資が意図せぬ結果にならないよう、新しい政策は適切に検討すべきとしています。レコード会社によるアーティストへの投資は前年比で増加しており、アーティストのキャリアへの主要な投資家としてレコード会社が果たす役割は重要との主張です。

 

結局一番おいしいところを持って行っているレコード会社がそれを手放したくないということですよね。ストリーミング利用者としては、自分の好きなアーティストがもらうはずのお金が、レコード会社の偉いおじさんの懐に転がり込んでるかと思うと悲しいです。多分若い社員のところにはあまりお金は回っていないはず。経験上分かります(涙)。

 

もっとも今は、クラウドファンディングとかで製作費を賄うこともできるし、立派なスタジオがなくても自宅で音楽を作れる時代でもありますよね。レコード会社のほうが、なくなってもいい時代かもしれません。既存のシステムの上でふんぞり返り、アーティストとの共存を拒むなら、未来はない気もしますね。

 

一転使用許可かも。黒人スイマー用「ソウル・キャップ」が求めるインクルージョン

世の中、インクルージョン(包摂、包括)という言葉がはやっております。日本語でもなんだか読みにくい&わかりにくい語ですが(汗)、人種、宗教、体形や外見まで、いろんな人の価値観や多様性を尊重して公平に受け入れることのようです。つまり、排他の反対ってことですね。

 

この観点から、様々な分野でインクルージョンの取り組みが求められているんですが、今日の話題はこちら。

 

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画像元:https://soulcap.com/

 

じゃーん。

 

こちらは、アフロヘア用の水泳帽だそうで「ソウル・キャップ」というんだそうです。作ったのはマイケルさん&トックスさんという二人組なんですが、彼らのインスタによれば、黒人のお二人は、子供のころ水泳を習わず大きくなったそう。水泳は黒人スポーツと思われておらず、まわりにやっている人もいないし学校や親からも勧められなかったんだそうです。

 

そこで二人は2017年に一緒に水泳を習うことに。同じ教室で会ったアフロヘアの黒人女性がボリュームのあるヘアに水泳帽がフィットしなくて困っているのを見て、自分たちで作ろうと決めたのだそうです。起業したんですね。

 

ところが、この「ソウル・キャップ」は、国際水泳連盟FINA)から承認されず、東京五輪などでも使用不可とされてしまったんですわ。これが大々的な批判を浴びまして、見直しの対象になったということです。

 

www.bbc.com

 

BBCによれば、FINAが認めなかった理由は、「頭の自然な形」に添っていないことだったらしいです。しかし「ソウル・キャップ」は、ドレッド、アフロ、編み込み、三つ編み、太い髪や巻き毛までにフィットして保護する仕様。他の髪質よりも乾燥しやすく、プールの水に含まれる次亜塩素酸ナトリウムでダメージを受けやすい黒人の髪を考えて作られているんです。頭の形より大事なのは髪。黒人にとってはかなり実用的ということですね。

 

実はヘアケアは黒人スイマーにとっては大変な課題であることを、イギリスの黒人スイマーがBBCに説明しています。普通の水泳帽は頭にフィットするものの、髪の毛の保護用につけているオイルのせいで滑ってどんどんずれてしまうのだそう。ちなみにイギリスの国内大会では「ソウル・キャップ」は着用可だそうです。

 

さらに問題なのは、イギリスでは白人の子供のうち29.3%が水泳をするのに比べ、アジア系21.9%、黒人20.1%となっており、人口比で白人のシェアがかなり高いスポーツとなっています。こうした差を是正するためにも、アフロ用の水泳帽が役に立つのではないかという意見もあるそうです。まさにインクルージョンですね。

 

しかし写真を見る限りこのキャップだとかなり空気抵抗が大きいような…。タイムはおそくなる気もしますが、逆に速くなるようなら反対意見がもっと出ているかもしれません。まあ男子は坊主にするという手もあるんですが、女子はそうもいきませんから、やっぱり必要なんでしょう。

 

この話題を読むまで、確かに黒人の水泳選手は少ないと気が付いていて、これは差別の歴史から来るものなのかなと思っていたのですが、本人たちが髪の毛の問題を抱えていたということを知りました。人種が違うと分からないこともいっぱいあるんで、このニュース大事だったかも。

 

東京五輪は、コロナに留まらず、選手のプロテスト禁止、トランスジェンダー選手の出場など物議を醸す話題が満載の五輪になりそうです。しかしアフロ・キャップ、誰も傷つけることにはならないみたい。ぜひ東京五輪でも採用してほしいと思います。

 

これじゃ中世の拷問。減量用に開発されたデンタル装置が利用者に大不評

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photosforyouによるPixabayからの画像

梅雨ですね。今日の我が家は生臭い。なぜならかわいい老犬の愛犬が、朝びっしょりおもらしをしてくれたからです。うちの子はお外でしかトイレにいかない賢い犬で、若かりし頃はママが7時間ぐらい出かけても、おしっこをずっと我慢して待っていてくれたのですが(それも体に悪かったと思うけど…)。ここ数年は、すっかり緩んでしまったようで、気が付くと水たまりができていたということが多いです。

 

粗相が怖いので、夜は広いサークルの中に大判ペットシートを敷いて、そこに犬用ベッドを入れて寝させているのですが、今朝はペットシートの上に大と小が放たれていました(涙)。シートだから床は大丈夫だったのですが、ベッドの下におしっこのにおいが染みついてしまい、洗いたいけど雨でかわかないだろうから、ざっと雑巾で拭いたのみで、周囲ににおいを拡散しております。もう、しょうがないけどね。粗相は天気のいい日にお願い!

 

さて、本日は雨で私のボルテージも上がらないためしょうもないニュースをひとつ。

www.theguardian.com

ニュージーランドのオタゴ大学の医療専門家とイギリスのリーズ大学の科学者が開発した減量ツールのお話です。

 

『デンタル・スリム・ダイエット・コントロール』と分かりやすく名付けられたこの装置、なんとロックボルト付き磁石を使っており、装着すると最大2ミリしか口を開けることができなくなるそう。固形物が通らないため、流動食しか食べられないという画期的な仕様となっております(怖)。

 

オタゴ大学は、この製品は「世界的な肥満の蔓延と戦うための世界初の減量用器具」と自信満々にツイート。すでにニュージーランドの肥満女性7名が低カロリーの流動食を2週間に渡って摂取する実験に参加したそうです。British Dental Journal誌に掲載された記事によりますと、女性たちは平均で6.36キロ、体重の約5.1%の減量に成功したということです。むむ、ということは、一人125キロぐらいはあったということですね。ちなみに渡辺直美ちゃんが158センチで107キロということですから、結構ヘビー級だったと予測。

 

しかし実験参加者たちからはこの装置が使いにくいという苦情が出たそうです。話しづらいし緊張感も感じ、生活全般で満足感が減ったとのことでした。ある参加者はルールを破り、食べてはいけないとされていたチョコレートなどを溶かして歯の間から流し込んでいたそうです。チャレンジャーだな(笑)、甘い誘惑に負けたんですね。ダイエットあるある。

 

オタゴ大学のポール・ブラントン教授は、このツールは体にメスを入れることもないし、元に戻すことができ、経済的で魅力的な外科手術に代わるものだと自画自賛しています。しかしネット上では、「流動食ダイエットにこんな拷問デバイスは不要」という厳しい意見も寄せられているとのこと。

 

不評に焦ったんでしょうか。オタゴ大学では、太り過ぎで手術を受ける必要があるがその前に体重を減らしておかなければいけない人の支援を目的としていると説明(言い訳)しています。しかしそれにしても、口開かなくて流動食だと、気分は病人ですよね。大事なのは、そこまで太らないように適度な運動と節度のある食生活ではないかと思います。

 

ちなみにイギリス人曰く、英語ではindulgence(悪い習慣にふけること、甘やかすこと)という言葉があり、甘いものを食べると、がっつり満足できるまで食べてしまうという傾向があるんだそうです。日本人の私だと「おいしいものを少しずついろいろ」っていうのが多いんですが、やつの感覚では「おいしいもの1つを飽きるまでたっぷり」というのが理想なんだそうです。だからなんでもサイズが大きいんだと勝手に納得。ということで、まずは減量より、食べ物のサイズを小さくするのが先かもしれません。