UK9報道部

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米撤退は中国にもマイナス。アフガニスタンでタリバン政権復活か?

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David MarkによるPixabayからの画像

日本全国大雨のお盆ですが、海外でもいろいろトラブルがありますね。

コロナは国内で入院できないほどの感染大増加。ハイチではまた地震。そしてアフガニスタンからの軍撤退を決めていたアメリカは、タリバンの猛攻勢で予想外に早そうな首都カブールの陥落を前に、大急ぎで大使館職員らの退避を進めているようです。

 

アフガニスタン情勢って、しばらく忘れてました…。なので短くおさらい。そもそもアフガニスタンって王政から共和制に1973年に移行。その後紛争が続き1996年にタリバンがカブール占領するもまたゴタゴタ。オサマ・ビン・ラディンアルカイダを匿っていたタリバンアメリカが攻撃し、アメリカに守られた新共和国が2001年に成立。しかしずっとタリバンも粘っていてなくなったわけではなかった。で、いつの間にやらトランプ政権時代にアフガニスタンから米軍は完全撤退することが決まっており、徐々に撤退が進行。タリバンのほうは攻勢を強めて現政権は崩壊しそうな勢いなんですが、今のバイデン大統領がそれでも撤退すると言い切ったわけです。

 

その理由はこちら

jp.reuters.com

 

現時点でもグダグダで米兵の犠牲が多い戦争は勝ち目がないと見限って泥沼化する前に出ていこうと思ったようです。

 

じゃあこれからアフガニスタンはどうなるの?と思って、いくつか記事を読みましたところ、なかなか興味深いことが分かってきました。ソースは以下。

www.reuters.com

www.wsj.com

warontherocks.com

 

世界の警察アメリカがいなくなると、当然アフガニスタンタリバンの手に落ちそうです。アメリカを狙うテロが復活する心配もあると思うんですが、実はアメリカが出ていくことで困ってしまう国があるようです。

 

記事に書かれていたのは、ロシア、中国、パキスタン。ざっくり説明するとこれらの国はイスラム過激派が台頭すれば、自国もイスラム教徒を抱えているため、治安上の心配が増してしまうということです。今までアメリカがアフガニスタンを見張ってくれていたために助かっていたわけですが、撤退されると今後は自分たちでその危険の目を摘む必要があるわけです。

 

で、もっとも微妙なのが中国。中国はすでにタリバン幹部と会い、この感じだとタリバンが軍事力で政権を奪ってしまえば、それを承認するんじゃないかと言われています。中国は、ロシアやアメリカと違ってタリバンと戦争をしたことがない大国です。すでに大型投資や援助をタリバン側に約束しているとも言われ、経済で懐柔するつもりのようです。

 

タリバンにとっても、中国は他国の内政には干渉しないという政策を取っている上に、中国から信任されることで国際的な政権の正統性を確保できる、アメリカなどを今後けん制できるという利点があると見られています。

 

しかし、アメリカの撤退は中国の対外政策に大きな不安をもたらす可能性も指摘されています。中国の一帯一路構想は、パキスタン、イラン、ロシア、中央アジアなどに展開していますが、米軍が去ったあとアフガニスタンから暴力が広がることで不安定になるのではないかという見方もあります。

 

これまで中国はアフガニスタンでの鉱山や油田への投資で大失敗をしているとのこと。ただでさえ面倒なことだらけのアフガニスタンのプロジェクトなのに、政治的な不安定さと安全保障上の脅威がどうしても投資拡大を妨げるということです。ここでも米軍撤退がマイナスになっており、今後大規模投資が促進するとは思えないという意見があります。

 

政権を取れば、タリバンは過激派的な政策を抑制するという考えもあるようですが、タリバンの近代化ついては中国内でも不安視されているとのこと。ただ、中国政府はアフガニスタンにおいてはタリバンと協力するしか他に選択肢はないと考えているようです。

 

アメリカも中国においしいところだけ取られてたことに気づいたんですかね。米中対立してますので、地理的にも遠く、経済的メリットもないアフガニスタンに長居するより、中国に任せてお手並み拝見というのもアメリカ的には確かにありのようです。世界の勢力図にも影響を与えそうなアフガニスタンからの米軍撤退、今後を注視です。