UK9報道部

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1週間だけ行ってきました。ロンドン旅行記④ ー芸術&名物編ー

コートールド・ギャラリーのゴッホ、耳を切った後の自画像

観劇後のホテルまでの道のり、夜の町に変化があることに気が付きました。昼間にやっていたお店の多くが閉店していましたが、その入り口あたりにホームレスの人がいっぱい寝てたんですね。夜になると結構寒いんですが、店の入り口スペースは風よけができるのかもです。

 

日本でもホームレスはいますが、店頭に堂々と寝床を設営するパターンはあまりないような…。観光客の多い通りなんで、朝お店の人が来るまでに撤収するんだとは思います。しかし私も含め街行く人は無視して通り過ぎ、ホームレスは視界のなかから消えてしまってるんですよね。華やかなロンドンで、格差みたいなものを感じました(真面目に)。

 

さてさて、翌日です。娘はどうせ疲れているだろうからと、昼食から待ち合わせをすることに決定。私はホテルをチェックアウトしたあと、すぐ近くのコートールド・ギャラリーという美術館に1人で行くことに決めました。この美術館は3年ほど改修工事をしていたとのことで、昨年秋に再オープンしています。改修中に、作品は日本にも来てたようですね。全くアート通ではないのですが、印象派の名画が見どころということだったので、行ってみよっかなと。

courtauld.ac.uk

 

ホームページを見たら、チケット予約できるようでした。そういえば、前に大きな美術館にいったら人数制限があり、飛び込みだと入れないみたいなこともあったので、予約しました(これが結構個人情報登録満載で面倒でした)。もしかしてすごい混んでて密だったらとちょっと不安に。まあいいか。

 

で、行ってみたところほぼ誰もいなかった(笑)。入口で予約したチケット(QRコードが送られてきた)をピッとやっていただき、とりあえず3階の印象派の展示室へ。そこまでの螺旋階段がなんか素敵でした~気分はヨーロピアン。入ると超デカい絵が数点飾られておりまして、誰のか分かんなかったけどすごかった(ものすごい知識ゼロ)。

 

しかし、そのあとが圧巻でしたね。名画のオンパレードでしたもん。マネ、セザンヌゴッホゴーギャンルノワール、そしてモネ、と「中学の美術の教科書で見た!」と叫びたくなるような豪華セレクションに、一人興奮してしまいました。

 

2階はルネッサンスっぽい肖像画がたくさん。1階はさらに古い宗教画ぽいの(キリストと王様がいっぱい)がありましたが、ざっと見て終了。やっぱり印象派が分かりやすかったので、再度3階へ戻って最後になめるように鑑賞しておきました(入場料の元を取る派)。

 

ロンドンにはこれまでも数回来てますが、ほぼ毎回おのぼりさんなので(夫や知り合いの言われるままに動いてた)、大英博物館とかナショナル・ギャラリーとか定番を見てきたんです。が、正直広すぎて「何見ても分かんなかった」&「どれ見ても似てる」的な絵の連続で疲れちゃいました。

 

ところが今回のスペース的にはこじんまりと、しかし「絵心」不足でも分かるエッセンスを凝縮した展示は、まさに私の求めていたものだったと思いましたね~。時間のない人でも充実感120%。専門的知識はないけど、土産話になるから名画見たい!という人は、ロンドン観光に来たらここだけ行ってください(笑)。

 

この後待望の昼飯!と思いきや、娘から約束の時間を1時間遅らせてくれとライン連絡が。なぬーっ、と母は怒りました。実は私、朝食の次にイギリスで好きなのがフィッシュアンドチップスなんです(早&安)。で、昨晩と今朝にかけて、今日から娘と宿泊予定のホテルがある、ウォータールー駅近辺のフィッシュアンドチップス店を探してそこで待ち合わせにしていたんですわ。この大イベントのために朝食抜きにしていたので空腹で立腹!

 

グーグル評価で★4つ半の名店を見つけ、レビューを読んだら「おいしいけどキャッシュオンリー」とカードしか持ってなかった人の苦情の嵐になってました(笑)。頑固おやじの店的な(勝手に想像)とってもそそるお店っ。わざわざ美術館に行く前に例の両替屋で日本円をポンドに替えて準備万端だったのに~。

 

しょうがないので、少し美術館の前をぶらぶらしてコーヒーでも飲もうと思ったんですが、昼になるとどこも結構密になっていたのでパス。フィッシュアンドチップス店には歩いていける距離だったので、グーグルマップを見ながらウォータールー駅のあるテムズ川の対岸に向け、橋を渡りました。

 

対岸の橋沿いは亡くなった女王の棺を見るために並ぶ人たちの列が見えました。翌日は国葬で、それまでにいかないとお目にかかれないので長蛇の列。これがもう連日ニュースになっておりまして、24時間以上待ちとかもあったようです。ビッグイベントに参加してる気分が、民衆を突き動かすんでしょうか(私は無理)。

 

ホテルで行列のルート地図を貰いました。トイレとか水飲み場とかも示されていて親切。

私は行列を横目に橋を通過。フィッシュアンドチップス店を見つけ、待ち合わせまであと30分弱もあったので道を渡ったところのバス停に腰を下ろして待ち行く人々を眺めていました。実はこれを自分で「ヒューマン・ウォッチング」と名付けていまして、見知らぬ人の行動を見るのが大好きなんですわ(注:ストーカーではない)。もう、「何があったの?」と尋ねたくなるほどほくそえんでる人とか、無心に鼻くそ掘ってる人とか、人間って本当に面白いですよね。この話してると延々語れるのでやめときます(笑)。

 

ヒューマンウォッチを満喫中に娘からさらに遅れるとの連絡。もう母は怒り心頭に達し、昼食は後にして集合場所をホテルに変更。だってもうチェックインできる時間になってたんですもん(涙)。

 

ホテルは駅近だったので、ロビーでソファに腰かけて娘を待つことに。娘、私を拝み倒しながら登場。ブーブー文句を言った後に、チェックインしてお部屋に入りました。前払いしてちょっとお安い料金だったヒルトンの部屋は広めできれいでした。

 

ところがアクシデント発生。娘が手を洗うといって洗面台を使ったところ、なんと排水栓がしっかりされており水が抜けないと。よくある金属の丸い栓で、普通蛇口周りに開け閉めするレバーがあったりするもんなんですが、どこにもないんですよね。ぐっと水栓部分を押してみたり、ほじくって見たりするんですが、どうにも動かない(汗)。フロントに電話して助けを求めましたが、全然来ないんで、仕方なくそのままにしてフィッシュアンドチップス店に行こうと部屋を出ました。

 

そしたらお掃除の方が別の部屋を掃除してたんで、その人に助けを求めたんです。英語あまり分からない感じの女性だったんで、「来て来てっ」と部屋まで呼んで、ここが開かないんですと指差しで伝えると、その人がクスっとして、人差し指で水栓の端を押すと、くるっと栓が回ったんです。なんと、コイン型の栓がくるくる回転して開閉するシステムだったんですね。横になってると閉まって縦にすると水が抜けていくという(説明難しいけど、分かるかな?)。予想外の展開に、思わず「わーっ」と歓声を上げた親子。お掃除の女性から、こぼれんばかりの笑顔をいただきました(めでたしめでたし)。こういう洗面台、今後もどっかで遭遇するかも。覚えておきたいですね。

 

そしてフィッシュアンドチップス店到着!さすがにもう飯時はとっくに過ぎていたので余裕で着席。こちらのお店でございます。

maps.app.goo.gl

フィッシュアンドチップスは、名前のまんま、揚げた魚にフライドポテト(チップス)がついたもので、大体どこ行っても食べられます。フィッシュは通常コッド(タラ)、ハドック(コダラ)、プレイス(カレイ)の3種類で、私はいつもコッドです。チップスは手でカットした短いサイズがよしとされてるらしいです。

 

やはりおいしいのを食べようと思ったら調べないとね。ただ、調べても失敗する場合もあるらしい。昔読んだツイートで、「地元の3世代続く名店に超楽しみにしていったら、『この数十年間いったい何やってたんだ』っていうぐらいまずかった」というのがあって、大爆笑したことを覚えています。

 

で、私が本日の名店で食べたのはこちら。

サイズ感がわかんないと思いますが、コッドは私の靴(23センチ)ぐらいの長さはありました。そしてチップスもてんこ盛り。朝食を抜いたわけが分かってもらえると思います。お味のほうですが、レビューがよかっただけあり、揚げたてで衣がサクっとして美味でした~。肉厚のお魚も臭みはゼロ。

ただ、ずっと食べてると飽きるんで、味が変えが必要。私は最初はお酢をたっぷりかけていただき、その後タルタルソース、最後にチップスにつけたケチャップの残りをつけて食べるという流れで魚だけは間食しましたが、芋はもう無理でした(娘も同じ)。唯一評価できなかったのは、チップスが冷凍だったこと。これはまあ、最近はしょうがないことかもですね。ちなみに現在では、このお店はカードOKに変わっていました。クチコミの怒りがちゃんと伝わったようです(◎)。

 

久々の本場フィッシュアンドチップスを食べ、超お腹いっぱいになった親子は、ホテルに戻ってゴロゴロすることに。しかし二人ともそのまんま眠くなり結局また夕飯を食べずに寝てしまったのでした。⑤に続く。

 

 

 

1週間だけ行ってきました。ロンドン旅行記③ ー朝食&観劇、そして両替編ー

もうすぐ使えなくなる女王の紙幣

ついに、この日が来ましたよ。

今日は娘のミュージカルを見に行く日なのでした。こやつがミュージカルスターになる夢を見て、舞台芸術系のスコットランドの大学を卒業したのが2年前。ところが、最後の年はコロナの蔓延で卒業公演もオンラインとなり、母は見に行くことができませんでした(超悲)。卒業式もなくそのまんまロンドンに出て、果たして仕事が来るのだろうかと家族みんなで心配しましたよ。でもちょこちょこ舞台の仕事も来て、役が来ないときはバイトして。ラグビー場のレストランのウェイトレスがチップ最高だったそうですが、なんとか生活できていたようです(涙)。

 

で、やっと来た今回のお仕事は、なんと準主役!でも実は2人芝居だったので、主役「じゃないほう」でした(笑)。最終日の夜の公演のチケットを取ってもらっていたのですが、母はせっかく来たのだからと、昼のマチネのチケットも買っちゃいましたよ。

 

で、その前に娘とブランチに行きました。時差ボケでほとんど夕食パスだったので、なんかおいしいもの食べたいなと思って。実は、私が一番イギリスで好きなのは朝食です!イングリッシュ・ブレックスファストというやつね。ベーコンやソーセージに焼いたトマトやキノコ、ベイクドビーンズや卵がついてトーストと一緒に食べるやつです。

 

イギリスは世界屈指の「めしマズ大国」として不動の地位を確立してきましたが、近年(というかEUに入ってからかな?)は移民の皆さんが持ち込んだおいしい料理によって、ガッカリ料理が減っているようです。イタリアンやインド料理などはかなりおいしいので、イギリス料理を食べる必要がなくなってしまったのですが、朝食だけはたまに食べたくなる私。下手に料理しないで素材を生かしているところがよいのでした。つまり他のイギリス料理は素材を殺しているということでもあります(笑)。

 

ただその朝食も、北米、オーストラリア系のアボカドトーストやエッグベネディクトを出すおしゃれ勢に浸食されておりまして、ビルズとか日本にもあるチェーン店なんかも人気のようです。だいたいブランチでおしゃれ朝食はいただくことができまして、今回はすんません、脱イングリッシュ・ブレックファストっ!ホテル近くのコベントガーデンのこのお店に連れてってもらいました~。

 

www.theblackpenny.com

着いたとたんに結構並んでましたね。皆さんすごい団体さんでほぼ観光客だったと思います。めっちゃ待つかも、と思っていたら、お店の人から「角のカウンターに2席空いてるけどどう?」とお声がかかりました。どうも団体さんたちはみんなでお外のテーブル席が希望だったみたいで、ラッキーにも我々は着いて5分ぐらいでお席をゲットできたのでした!母は若干屋内の換気が心配だったのですが(こだわるなぁ)、「ええい、もう今感染しても今夜のショーまでには発症しない!」と思い、店内へ。

 

でいただいたのがこちらです。

私のはサワー種のパン、スモークサーモンとハーブ入りのスクランブルエッグ添え。気分はニューヨーク(違)。

 

娘のは肉系モリモリにポーチドエッグとトマトのロースト。このトマト貰ったんだけど、フルーツトマトよりも甘くておいしかったです。

 

手絞りのオレンジジュースも頼んだのですが、ストローは紙製でした。やっぱおしゃれはサステイナブル(でも果肉がつまって吸いにくかったぜ)。カフェラテはまずまずでしたね。ちゃんとラテアートも施されていました。

 

お腹がいっぱいになったところで、娘は劇場入り。私は両替所に向かいました。日本の空港でキャッシュを両替できなかったとは言え、この時点でイギリスはほぼキャッシュレスで行けることが分かってたんですけどね。じゃ、なんで両替行くのよ、と皆さんつっこみたいところでしょうか。実は私、以前から持っていた香港ドルがありまして、この円安のときに有効利用したいと思っていたのでした。たったの200香港ドルでしたが、多分この先香港はいかないだろうから換金!

 

両替所は、ホテル界隈では一番レートがいいと評判のお店へ。少額なんでさっと変えてくれると思いきや、4、5組ならんでおりました。ちょっと待ってたんですが、なかなか今両替している人が終わらない。なんかめんどくさい国の人だったんでしょうか?両替所のおじさんが電話かけて長々とやっているわけですよ。なんで、また後で出直そうと思い撤退。

 

そしてマチネの時間に!始まるギリギリに行ったところなんとほぼ満席でした。ここでもノーマスク軍団のなか私だけマスク。左隣のちょっと太めの男性がハーハー濃い呼吸をしていて怖かったですが、ぶっちゃけもうここまで来たら打つ手なしなので、この人が健康であることを神に祈りました(成長した私)。

 

開演。小さな劇場でしたが、オーケストラも舞台裏に設置され、なかなか素敵なセッティングでした。主役の女の子がドーンと歌をかまして、その後娘登場。セリフで笑いもとり、歌も歌い、よく頑張りました。右隣の女性は感極まって泣いてました(後で聞いたら、作品のライターさんの彼女だったそう)。母も久々に感動&ホッとしました~。

 

昼の部終了後はお外で娘と合流し裏方さんや主役の子などとちょこっと歓談(皆いい人たちだったので、安心)。娘とタイ料理のファーストフード店で早めの夕食をして別れ、再度両替にトライしました。今度は誰もいなかったので、「ポンドに交換して」と言って香港ドルを出しました。そしたら両替所のおじさんがものすごく怪訝な顔で「何にしたいの?」って言ってくるんですよ。「ポンドでお願い」って言ったらまたぶつぶつ言ってるんで、私の英語も通じなくなったのかと一人悲しい気分に。

 

ところがおじさんが「あっ」と言った後に、アジア系の若者がキャッシュとレシートを掴んだ状態で両替所に飛び込んできました。そしたらおじさんが「ああ、これあんたのか」と言って、若者に向かって20ポンド札をひらひらさせたんですわ。ん?これって何?

 

読んでる方もわけわかんないと思うので説明。実は両替所のカウンターにはスライド式の箱みたいなのがつけられてて、そこに客は現金を突っ込んでおじさんのほうに箱をスライドさせるシステムなんです。ところが、私が香港ドルを突っ込む前に、アジア系の若者が換金した後に取り忘れた20ポンド札が残っていたようなのです。だから、私の香港ドルの奥に20ポンド札があって、私がそれを箱に入れたとおじさんは勘違いしたんですわ。ポンド出しておいてポンドに換金してくれと頼むこのアジアのおばさん、何言ってるんだと思ったわけですね。なるほど。

 

結局おじさんが若者に「この女性のおかげで助かったぞ」みたいなことを言って20ポンド札を渡し、若者も「ああ」みたいな感じでさっぱりと去っていきました。で、その後私は無事換金を完了。なんかめんどくさい話でしたが、これも旅のエピソードと思い許しました(寛大)。

 

さて劇場は夜の部に。またもや昼を上回る観客すし詰め状態でしたが、もう知らん(キモ座ってきたぜ)。ダブルキャストなので夜の部は別の主役だったのですが、この人は超ド級に歌がうまかったです。娘も引きずられたのか夜のほうが上手だったかも。最後はみなさん花束投げ込みのスタンディングオベーションで終了。来てよかった、ホント。

 

我が子ネタの自己満足が続くのは何なので、ミュージカルの情報とかはここではパスらせていただきます。写真1枚貼っておくので、興味ある方はググってくださいな。


娘は最終公演を終えて、打ち上げに。母は夜風を感じながらホテルに戻りました。④に続く。

 

 

 

1週間だけ行ってきました。ロンドン旅行記② ー物価高編ー

 

ロンドンのブロードウェイ、ウエストエンドの劇場

娘の舞台を見るためだけにロンドンにやってきた私です。

到着翌日の朝、結局ほぼ寝られず時差ボケ。だけど脳内はちょっと興奮状態でしたので、がばっと起き上がりました。食欲もなかったので、機内食に付いていて、捨てるのもったいないと思ってカバンに放り込んでいたカステラをとりあえずいただき、ホテルをチェックアウト。またまた市バスで空港のセントラル・バスステーションに戻りました。ここで娘と合流予定。

 

このバスターミナルには、イギリス国内を走る長距離バスも出ているため、旅行者でいっぱいでした。欧州、南アジア系の方々が多いようです。ここでもすっかりコロナは終わっていましたね。混雑していたので、私は屋外で娘を待っていたのですが、喫煙所の近くだったため、ものすごく煙が臭かったです。欧州、たばこの値段は高くても、吸う人はやっぱり吸いますね。

 

娘登場。久々の再開にビッグハグをした後、ロンドンまでの電車に乗るため駅を目指しました。ここでまた節約情報(ケチだなww)。実はヒースローからロンドンのパディントン駅まで、「ヒースローエクスプレス」という「ロンドンに15分で着いちゃう」が売り物の列車が走っていますが、これがまた25ポンド(約4,000円)とお高い!同じホームに止まるエリザベスラインという地下鉄(だけどほぼ地上を走っている気がします)を利用すれば、11ポンドぐらいで行けます。お時間は30分ぐらいですが、十分許容範囲ではないかと。より節約したい方はピカデリーラインという古い地下鉄路線を使えばさらに半額ぐらいになるそうです。ただし1時間ぐらいかかります。

 

で、パディントン駅到着。ここでベーカールーという地下鉄線に乗り換えて、チャリング・クロス駅を目指しました。娘が出演する劇場がThe Strandという観光客いっぱいの通り沿いにありまして、夜のショーを見てからひとりで帰るのはやや不安だったので、劇場に近い「ストランド・パレス」というホテルを予約していたのでした。このエリアはチャリング・クロスだけでなく、コベントガーデンなどにも近い非常に便利なところです。

 

しかしホテルは劇高でした~。1泊シングルで約3万5,000円也。2泊で7万以上取られた…。パレスと付くので豪華と思いきや、ものすごい小部屋でまさかのミニマム設備でした。チェックインして娘と部屋に入ったのですが、娘が「ママ、トイレ貸して」といってバスルームに入っていったものの、部屋との仕切りにドアがなく、やってるところが母から丸見えという…。ここでコスト削減するんかいっ、と突っ込みたい気持ちでしたが、まあ、一人で宿泊を前提にしているので、ドアなくてもね、ということみたいです。

 

ロンドンのホテルは、ビル感漂う日本のピカピカホテルを想像してはいかんですね。外観は伝統的な古い建築で素敵ですが、部屋は内装を新しくしているとは言え、やっぱりガタガタ感が強し。ちなみに防音もされてないようで、お隣の会話がダダ漏れでした(両親と子供一人だったみたい、ワハっ)。物価の高いロンドンのホテル代は純粋に場所代だと納得いたしました~。

 

しかし良かったのは、航空券を取ってからすぐにオンラインサイトでホテルを予約していたこと!そうです、たまたま私の旅行中にエリザベス女王国葬が重なりまして、予約が遅れていたらホテル代がさらにインフレ増し増し価格になっていたはずでした(怖)。葬式見るためにロンドンに来る観光客もいるはずってニュースで言ってましたので、中心部のホテルで1泊3万台だったら御の字だったかも。さらに円安も気になってましたね。すごい勢いで加速してましたので。このホテルは当日支払いしかダメだったのですが、ほかのホテルはすべて事前に円で払っていたので、そこも良かったと思います。あー、もう、私今回はグッドジョブ。自分で自分を褒めてあげたいっ。

 

お腹も減ってきたので、遅めの昼食へ。出かけたのが、ここ。

mockitchen.co.uk

ベトナム料理のお店でした。なんかさっぱりしたものが食べたかったので、ベトナムの汁そばフォーを食べることに。

こういう感じのメニューでしたが、ランチに間に合ったので、春巻き付きのフォー・セットをいただきました。お味ですが、うーん、まあまあかな。お汁にマギーブイヨン味が強かったのと、牛肉が硬かったのがマイナスです。日本のように薄切り肉がないためか、でかい肉を切ったようで骨も一緒についてきてました。盛りは写真よりかなり少なめ。セットの春巻きもとっても小さく、全体的に日本人サイズだったかも。

 

しかし驚いたのがお値段です。この麵セットにソフトドリンクをつけて、2人で39.6ポンド。ビザカードの請求では6,699円となっておりましたがな!(急に関西弁)。うわさには聞いていましたが、デフレ日本で暮らしていると海外のレストランの食事が超高く感じますね。日本なら一人1,000~1,500円でおつりがくるレベルの食べ物だったので、ぼったくられた感がありました。ちなみに、サービス料12.5%も加算されていました。値段にうるさい皆さまはレシートをもらうことがお薦めです(黙ってるとくれないときが多いです)。

 

なんか私の貧乏くささを露呈するようなブログ内容になっておりますが(恥)、実際値段に関しては驚くことだらけでした。日本が他と比べて安すぎるだけなんでしょうが(くすん)。

 

この日は夕方から娘はお仕事に。私は眠くなって娘を見送ったあと、寝てしまいました。起きたら夜の9時半だったので、またそのまま寝ることに。明日は娘の舞台を見に行きます。③へ続く。

1週間だけ行ってきました。ロンドン旅行記①

実は、9月15日から22日までロンドンに行ってきました。家庭の事情で(笑)。

というと意味深ですが、うちの子供があっちで女優になりまして、舞台でいいお仕事をいただいたので、ママぜひ来てほしいと。

 

ええーっ、ママ初老だし、コロナまじで怖い(汗汗)。しかもマスクもソーシャルディスタンスもないロンドン行くなんて絶賛感染推奨キャンペーンに参加するも同然ではないですか。悩みましたよ。でもよくよく考えると日本でもコロナはすっかり広がってるしなぁ。冷静にデータを調べると、死者数ではイギリスより日本のほうが多いので、多分感染はかなり収まってる感じ(感染者数はイギリスはもう調べてないので、死者数で判断してみました)。この調子だといつまでたっても行くタイミングもつかめないし…。そうだなあ、もう娘の晴れ舞台を見られたらコロナで死んでもいいかも、などと極端すぎる結論に達しまして、ついにこの機会に行くことに決めました。

 

さらに後押ししたのは、突然安いエールフランスの航空券を発見したことです。最初に航空券をチェックしたときは、国内航空会社はもちろん、エミレーツフィンエアーなど比較的お安いと思われていた航空会社まで、燃油サーチャージの高騰でエコノミーでもほぼ50万ぐらい…。さすがにこれは散財過ぎると断念していたのでした。

 

しかし、エールフランスさんのおかげで20万ちょいで行けることが分かり、出発まであと10日ほどだったので、大慌てで深夜にオンライン予約開始。ところが、支払いの段階で3Dセキュアという認証システムのパスワードをすっかり忘れて適当に試したため、カード会社にブロックされてしまいました。何度やり直しても支払いに進めず(涙)。バカだな…。

 

ということで翌朝エールフランスに電話。すごく感じのいい方が出てきて、事情を話すと「あ、3つぐらい予約入れられてますね。いらないの消しておきます」と予約を取り直してくれ、ダメな客にもテキパキと神対応。さらにカード会社にブロック解除をお願いするようにという指示を受け、カード会社に電話。利用金額が大きく海外サイトへのアクセスだったので不審なトランズアクションと認定されてたらしいです(悲)。誤解も解けて午前中のうちにカード復活。無事航空券購入の運びとなったのでした。最近のコールセンターの方は有能です。ありがとうございました、ホント。

 

そのあと、オンラインブッキングサイトでホテル予約をしました。これ我ながら非常に賢かったのです。その理由は後ほど。

 

渡航日到来。ヒースロー空港では預入荷物が出てこないというニュースを聞いたので、今回はできるだけ空港でのトラブルを避けるため機内持ち込みサイズの旦那のスーツケースを借りて、荷物ミニマムで出かけました。オンラインチェックインしたので、空港のカウンターに行く必要もなかったです。

 

海外旅行も3年ぶりでしたので、出国手続きが顔認証ゲートになっていて、パスポートにハンコもいらないという事実に驚きました。ボディチェックもカプセルみたいなのに入ってサーっと機械がスキャン、みたいな以前オランダでやったやつに変わってましたね。東京五輪のためのだったのでしょうか。なにはともあれ便利は良いこと。

 

しかしがっくりしたのは、出国後の空港内ではお店がほぼやっておらず、両替所も閉鎖されていたこと。現金を少しだけ持っていたほうがよいと思っていたのですが、変えることができないのであきらめました。

 

行きの飛行機はまあまあ混んでまして、私の隣にはだれもいなかったのですが、結構フランス人が乗ってましたね。この時は日本滞在ではなく、どっか行って乗り換えで日本を経由した人たちなのかなと思っていました(のちに真相判明)。

 

外国人の方は機内でほぼノーマスク。ただし日本人に加え、日本に住んでいると思われる外国人の方々はみなマスクでした。この違いがなかなか面白かったです。機内アナウンスではマスク推奨と言ってましたが、判断は各自にお任せしますということでした。そう言われると…しないんでしょうね(笑)。私は食事以外はずっとマスクしてびびっておりました(小心者)。

 

ウクライナでの戦争でロシア上空が通れないため、アラスカ方面から北極圏を通るルートだったのですが、15時間ほどかかって長かった~。お尻が途中で痛くなりましたがしゃーなしと。機内エンターテイメントを見てる人も多かったですが、私の席のタッチスクリーンは押せども押せども反応が悪く、いやになって諦めました。機材は777-300というやつで、古かったんですかね。とにかく睡眠をと思いましたが、座った状態でほぼ寝られなかったです。

 

やっとパリに到着し、ロンドン行きの飛行機に乗り換えとなりました。待ち時間は2時間ちょいぐらいだったので良いほうではないかと。空港のボディチェックで、ジッパー付きのパーカーを着ていたら、「ジャケット脱げ」としかられ、うーん、パーカーはジャケットなんだと理解。娘に後で聞いたところ、ジッパーついてるもの=ジャケットが正解とのことでした。英語のお勉強をフランス人にさせられてしまった…不本意

 

ロンドン行きの飛行機は超絶満員。ほぼノーマスクのおしゃべり欧州人たちに囲まれ、ここでも日本のおばさんはマスクをしたまま疲れた体に緊張をにじませていたのでした。1時間ほどのフライトでしたが、「もしコロナにかかるとすればココだわ」と悲観的。もう外国の方=コロナと考える癖が染みついていた私です。鎖国って怖い。

 

ガチガチのままロンドン到着。入国時には書類の記入もなく、イギリス人と同じ顔認証ゲートを日本人は通れることになっているので、そこをするっと通過して外へ(ありがたい)。荷物は預けていなかったので、すぐホテルを目指すことができました。

 

で、今回は夜9時20分到着の飛行機だったため、空港ホテルで一泊することにしていました。ターミナル3に近いホリデイインを予約してましたが、イギリス旅行で空港ホテルを使う皆さんに一つアドバイス(ここでかなり威張る)。ヒースロー空港では、各ホテルの無料シャトルは運航しておらず、ホテル・ホッパーという全ホテル共通のシャトルだけになります(空港の混雑解消のためらしい)。これが往復11ポンド(約1800円)もして高い!ものすごい利権の絡む臭いがしますよ~。なので乗っちゃダメっ。

 

代わりにロンドンの赤い二階建ての市バスの利用がおすすめです。セントラル・バスステーションというバスターミナルまで行くと、数分間隔で市バスが出ており、私のホテルの最寄りのバス停には5分ほどで到着。お値段280円ほどでした。今ロンドンの公共交通機関では、コンタクトレスのクレカ利用でチケットなし「ピッとかざす」乗車が可能。SUICAのようなオイスターカードという交通系カードもあるんですが、買う必要ないです。ホッパーだといろいろホテルを回るので時間がかかるうえに、夜は1時間1本ぐらいしか出ていないので市バスが絶対的に速いです。

 

空港の表示はめちゃくちゃ分かりやすいので、バスターミナルへは問題なくたどり着けました。バス停は多くのホテルが並ぶ大通り沿いになるので、降りたあとも徒歩数分でホテルに着きます。事前にグーグルマップでヒースローからホテルまでの経路をチェックしておけば、乗るバスの番号も教えてくれるので土地勘がない外国人でも楽勝。現地で携帯が使えるよう日本でシムカードを買って入れておけば、リアルタイムで移動中に現在地が分かるのでさらに安心です。ただし、市バスはローカル民で激込みしてますので、ソーシャルディスタンシング命の方はパスしたほうがいいかも。

 

ホテルにつくと、シャワーをして、ベッドにもぐりこみました。結局3時間ぐらいしか寝られませんでしたが、横になれたのは良かった。明日は娘と朝空港で待ち合わせです。②へ続く。

 

ロシアを利する可能性も。ロシア人観光客のビザ発給禁止にEUの意見分かれる

 

なんと久々の投稿になってしまいました。

えーっと、前回記事は書いたの5月だったみたい…。

なんでご無沙汰していたかといいますと、まずイギリスにいる娘が一時帰国して、そこからなんかルーティンが変わってライターの仕事が滞ってしまったので、6月ぐらいからそっちを通常モードにもどし、ブログはサボってました(へへへ)。加えて持病のストレートネック(スマホ首と一般に言われるやつ)が悪化し、ずっとPCの前にいると肩や腕まで痛くなってしまうので、原稿料がもらえないブログはお休みしてしまっていたのでした(悲)。

 

浮いた時間で何してたかというと、ネトフリ見てました!もう、『呪術廻戦』 から韓ドラ、『ストレンジャー・シングス』と、見るわ見るわ(笑)。『進撃の巨人』も最終話まで一気見だーっ、と思って見まくったら、なんとファイナルシーズンの最終話までいったのに終わってなかった(衝撃っ)。最後10分で全然終わる感じないのでもしや…と思ったら案の定でしたわ。続きが年末ぐらいからあるようです。それ、最初に行ってほしかった。そのころには話忘れてるのほぼ確定。おばさんなので、間が空くと前の話を見直したりするんですが、あれだけ長いともう戻れん(涙)。

 

さてさて、今日のネタですが、まずはちょこっと前に書いたものを掲載。

newsphere.jp

ウクライナ人が苦しんでいるときに、ロシア人が欧州のシェンゲンビザを利用して、海外旅行を楽しんでいるのはけしからん!ビザ発給はやめるべきだ、とゼレンスキー大統領が言い、一部のEU加盟国がそれを支持してEUの会議に議題として持ち込んだというお話です。この記事の時点でも意見が国によって分かれていたわけですが、ついに結論がでました。結果からいうと、観光ビザの全面禁止には至らず。EU内で妥協して、ビザ発給の手続きをこれまでより難しくし、時間もかかるものにしましょうということで、とりあえずまとまったようです。

 

この決定に反応して出された記事がこちら。

time.com

 

www.cnn.com

www.themoscowtimes.com

欧州でも依然として意見は分かれているということですね。タイム誌によれば、ロシア人が隣国フィンランドにお買い物旅行に来るというのは侵攻前からよくあることだったようですが、現在制裁で西側の物資が手に入らないので、買い出し旅行が行われているそうです。また、航空機が止められてしまったのでフィンランドエストニアを経由した海外旅行も盛んで、侵攻以来1000万人がこの方法で海外に出たということです。かなり多いですね。

 

一般人ならいいでしょ、と寛大な気持ちにもなれるんですが、なかには観光客を装ったロシアの工作員の場合もあり、懸念されているということ。さらに、現在観光旅行を楽しめているのは都市部の経済的に余裕があるロシア人で、戦争の影響を実感していない層です。こういった人が簡単に国外に出られなくなれば不自由を感じ、その不満が露の政策に反映されるという期待もあるそうです。バルト三国ポーランドなどはビザ全面禁止に賛成だったので、EUとしての決定には不満で、独自に厳しい制限をするという態度も見せています。国境を接しているので切実でしょうね。

 

一方ドイツ、フランス、スペイン、ギリシャなどは、一般人を擁護する姿勢を見せ、ビザ発給を禁止すれば反体制派の活動の妨げとなるとも述べています。ロシアではパスポート保持者は全国民の3分の1以下で、果たして効果があるのか疑問という声もあり。むしろビザ禁止で「欧州人はロシアが嫌い、だから戦争をしかけられている」というロシア政府のプロパガンダに利用される恐れさえあるとしています。

 

CNNによると、ハンガリーなどが強烈にEUによる一斉禁止に異議を唱えたようです。EUのボレル安全保障政策上級代表は、この件では欧州の結束を見せることが大事で、妥協の産物とは言えビザ取得を難しくしたことは評価すべきという考えです。基本的に政府と関係のない人と人との交流は続けるべきとしており、ロシア人を国内に閉じ込めてしまうことで、逆に国民の西側への反発&政府への支持が高まり、若い世代を民主主義から遠ざけてしまうことにも成りかねないとしています。

 

モスクワ・タイムズに寄稿したケナン研究所(ロシア研究で名高い)のアンナ・アルトゥニアン氏は、EUのやろうとしていることはロシアを利するだけだと厳しい意見です。そもそもロシア人は侵攻以来国外に大量流出しており、むしろロシアは観光ビザで海外に出る頭脳流出を心配しているはずだと指摘。ビザを制限すればロシア政府の仕事の代行になってしまうと述べています。

 

さらにロシア国民は、侵攻当初はロシア政府が国境を閉鎖して国民を閉じ込めることや西側製品を禁止することを恐れていたのに、今では欧州がロシア人の出国を困難にし、民間企業にロシアからの撤退や販売停止を促す状態になったと指摘。これでは「西側はロシアを嫌っている」というロシア政府が望むメッセージを送ることになるとしており、この部分では独仏などの「効果は疑問」という考えからさらに進んで「効果なし、むしろ悪影響しかない」という意見です。

 

アルトゥニアン氏は、ロシアはすでに権威主義から全体主義体制に移行したとし、国内で大規模な抗議活動が見られないのは脅迫と孤立という全体主義政府の古典的戦術があるからで、ロシア人を国内に閉じ込めても人々が民主的な変化を求めることはないとしています。ということで、EUのやっていることはプーチンをうまく罰することができない鬱憤をロシア人にぶつけているだけで、政策的な効果やコストを全く無視していると主張しています。うーん、確かにそう言われるとそんな気もする。ただ、アルトゥニアン氏から具体的にもっといい策が出ているわけではなく、単なる批判になっているのは残念です。

 

ちなみに、すでに1200万人のロシア人がシェンゲンビザを持っており、26カ国の国境を越えられる状態だということ。ここの部分はどうなるんでしょうか?ビザ切れまで待つのかな?ロシア政府は、欧州の対応には報復もあり得ることを示唆しており、相変わらずの強気です。

ウクライナ関連、個人的に頷いたツイート2選

私、イーロン・マスクほどではないんですが、結構ツイッターをまめに見ております。このブログでもいろいろ引用してきました。こんなご時世ですので、タイムラインが2割コロナ&7割ウクライナで染まっている状況。侵攻から数か月経ち、ロシアの蛮行による写真等がかなり出回っていて、正直塀の向こうから応援しつつそういったものを見て流すことがつらくなっています。どうせなら、この戦争をどう終わらせるのか、終わるとどうなるのか、のほうに注目したい気持ち。そこで、タイムラインのなかから見つけてなるほどと思ったツイートを今回もご紹介します。

 

まずはこちら

ヴォロディミル・イェルモレンコさんというウクライナの哲学者の方ですね。以前日本の新聞かなんかでインタビューを見た気がします。ざっと訳していきます。

 

これ(ロシアの行い)は単なる大量虐殺ではない。これはここウクライナの地で歴史上なんども繰り返されたジェノサイドだ。なぜそうなるかというと、それが一度も適切に非難されず罰せられることもなかったから。「もう二度と起こさせない」は、この悪には適応されなかった。そのルーツはスターリンレーニンロシア帝国にある。

 

罰せられず、非難されず、悔改められず、虐殺者は「もう二度としない」の代わりに「繰り返すことができる」と言っている。そしてその通りにできているのだ。彼らの言葉使いを見てほしい。ヘルソン農民からの「余剰の収穫の没収」、これはウクライナの大飢饉の原因となったスターリンの食料の「徴発」に似ている。

 

Zは邪悪(Zlo)を意味する。Zはゾンビの悪を意味する。繰り返される悪だ。何度でも戻ってくる悪だ。邪悪の悪循環だ。

 

「偉大なロシア文学」はこれをよく知っている。ロシアの文学者は逃げ場のない繰り返す悪とその悪循環を皆書いてきた。

 

これがロシアの歴史の悪循環だ。逃げ場のない野蛮な残虐行為。「進歩的な」マルクス主義を構築しようとして野蛮な残虐行為に終わったのだ。寡頭的資本主義を構築しようとしたが同じ結果に終わっている。この「逃げ場のない」ことがいつも犯罪につながるのだ。繰り返される罪に。

 

哲学者の方なので回りくどい感じもしますが、私の解釈では、結局ロシアというのは失敗や自国の悪行を全く反省することなく同じことを繰り返してきており、これが今回のウクライナ侵攻→蛮行の数々に続いているということだと思います。もちろんこんな体制を許し続けてきたのはロシア人でもあり、内側からビシっと叩いて批判し罰するという仕組みが働かなかったのが問題だと言えますね。また外からの批判も中途半端でした。ウクライナ侵攻に関しては、国際社会からも絶対に罰を与えて、「繰り返す」ことをできなくしなければいけません。

 

と思っていたら、こんな記事もありました。

www.nytimes.com

 

朝日新聞の記者さんが概要を書かれているので、こちらで読まなくても大体わかります。

こちらもやはり、例え国際社会が痛みを被っても耐えてロシアに戦果を絶対に持たせて帰らせてはいけないという意見です。やったもん勝ちが身についているので、やって損したと思わせなければまた懲りずに繰り返すということですね。完全同意。今回ばかりはお茶を濁した停戦は国際社会全体の危機を招きますね。

 

次のツイートですが、こちらはロシアのニュースサイト、Meduzaの編集者、Maxim Trudolyubovさんのものです。ロシア研究で有名のケナン研究所にも所属されており、ロシア人のようです。

ロシアの上位にある主戦論者の年齢は70歳ぐらいだ。ウクライナの防衛と主要な政府機能の担当者は40代、30代だ。ロシアの主要な役人の平均年齢は64歳だが、ウクライナは44歳。この戦争は世代間の戦いなのだ。

 

ロシアの年配チェキスト(国家保安機関に勤務する人)は、ウクライナの新世代エリートだけでなく、プーチン世代にとって代われるはずの若いロシア人をも破壊しようとしている。プーチンが前者破壊に失敗することは確実だが、すでに後者に関しては達成している。

 

プーチンの世代は、年配チェキストの掘った穴からロシアを引き上げられる可能性のある者たちを実質破壊した。ナワリヌイ(現在46歳)のようなリーダーは投獄されている。

 

チェキストは、次の世代を奴隷にするか国外追放にしてしまった。30代、40代のロシア人の多くは、泥棒政治のリーダーに仕えるか、国内外で流浪の身になった。

 

実際のところ、もしもリーダーがプロジェクトを構築し管理する経験を持ち、選挙に勝利し有権者の信任を得ていれば年齢は問題にはならないかもしれない。ウクライナの現在のリーダーたちにはまさにそうなのだが、ロシアの指導者たちにはそこが欠けている。

 

もしロシアの40代、30代がウクライナ側と同様の経験をしていたなら、そもそもこんな戦争は起こらなかったはずだ。

 

今でも私はロシアの20代、30代がロシアで実権を握るチャンスがあることを望んでいる。いつかの時点で。ただ、確信はない。

 

西側では、富を求めることにおいて年配者と若者を表向きに戦わせる世代間の「戦争」がよくある議論のポイントになる。特に左派においてだ。しかし、この戦争では、それが現実のものとなっている。

 

日本でよく老害という言葉が使われますが、まさに今のロシアがそうなっており、戦争が終わっても若い人がしっかり育っていないため、まともな政治も期待できないということかもしれないですね。前に調べたのですが、ロシアでは反政権的な候補者はもともと選挙にでられないように工夫されていますので、野党でさえもプーチンに明らかに都合が悪い人はすべて出馬できないようになっています。出馬できても、結局少数派で力が持てないように塩梅されているので、チャレンジ不可能です。

 

うまく戦争が終わったとしても、やはりロシアが変わるというのはなかなか難しく、例えプーチンが退場しても、次がまともになるとは限らないですね。なかなかに闇は深いロシアです。

 

 

張子の虎かも?ロシア軍はなぜグタグタだったのか

ロシアのウクライナ侵略戦争が始まってもう2か月ですが、ロシア軍の力が思ったほどではなかったという感想が各所から漏れています。

そこで本日の記事はこちら。

www.newyorker.com

ニューヨーカー誌が、アメリカの元陸軍大佐で元米シリア特使のジョエル・レイバーン氏にロシア軍のパフォーマンスについてインタビューしています。この方現在はシンクタンク、New Americaの特別研究員だそうです。Q&A形式になっていますので、手短にまとめたいと思います。

 

質問1:ウクライナでなぜロシアが劣勢にみえるのでしょう?

2008年のグルジア侵攻以来、これまでかなり長い間、ロシアは規模の大きい戦闘をしていなかった。そのため隠れていた体系的、制度的弱点が見えてきた。グルジアの時と同様に、指揮系統の不統一、ロジスティクス的弱点、訓練不足でモチベーションが低く統率も不足した兵士たち、質の低い将校たち、非常にお粗末な作戦設計と計画能力などが上げられる。航空作戦と地上作戦の同期化を含む、軍内部、軍団間の統合も不十分だ。

 

ここ数年改革に乗り出しており、シリア、リビアコーカサスでの作戦で成果を出したと見えたが、振り返ればそれらは非常に小規模だった。各段に規模の大きい今の戦いで、弱点が明らかになっている。

 

質問2:ウクライナでの大きな失敗は?

作戦設計に最初から欠陥があり、「ウクライナを解体し政権を変える」という任務に対して小さすぎる侵攻軍だった。そのうえ十分な兵站も備えていなかった。

 

質問3:その失敗は単に能力がないためか、それとも判断を誤ったからなのか?

判断ミスもあるが、組織的にキャパがない。敵地の奥深くまで攻め込む作戦を支援する組織的能力がないだけでなく、あらゆる種類の補給と戦闘支援を部隊に与えることができないことがわかる。兵站が弱いのに、主攻略を4つの大きな軸に分けて地理的に広く分散させたのは大失敗だった。第一次大戦のように列車にすべてを載せて前線基地にまで輸送はできず、トラックにすべてを載せている。十分な数もなくウクライナに破壊されているので、前線部隊に必要な物資を送り続けられなかった。

 

質問4:ロジスティックス以外に強調すべきことは?

ロジスティックスや作戦設計の前に「軍の指揮官を計画や作戦遂行においてアシストするスタッフとはどのようなものか?」を問わねばならない。ウクライナでは、故障したトラックや整備不足の車両を、操作や整備の仕方を知らない部隊が運転していた。そのため多くの車両が故障して放置されていた。これにより、以前からメンテナンスを怠っていた部隊があったことが分かる。兵士に整備士としての訓練をしていなかったためだ。私は米陸軍のドイツの装甲部隊にいたが、週5日勤務のうち4日は車両の整備を行っていた。整備はそれほど必要とされるものだ。

 

ロシアは最新鋭の戦車を輸出しているが、ハリコフ、チェルニヒフ、キエフには冷戦時代の非近代的なかび臭い装甲戦闘車両で表れた。つまりロシアの軍需産業は自国の地上軍に近代的装備を与える代わりに輸出に向けられていたようだ。

 

質問4:軍事的近代化プロジェクトはウクライナとは異なる戦争を想定して行われた、とロシアは弁明することができますか?それとも失敗はもっと広い範囲に及ぶのでしょうか?

もっと広い範囲だ。ロシアは近代化プロジェクトで防空システム、精密誘導弾や弾道ミサイルを優先したが、すべて失敗している。トルコ製のドローンがロシアの防空システムの上空を通過し、空から攻撃することはあり得ない。近代化された物の品質もごまかしのようなものだ。毎年数百億ドルも近代化に費やしてきたのに15年経ってもT-72戦車の近代化、もしくは退役に手が回らないのは信じがたい。もっとも論理的な結論は、その予算の大部分が汚職で消えてしまったということだと思う。

 

質問5:ウクライナの抵抗の規模には皆驚いているが、ウクライナは誰も予測しなかった方法で反撃したのでしょうか?

それもあるだろう。2014年以来ウクライナはドンバスで能力を高めて戦ってきているから他の地域でもできるようになることはそれほど驚きではない。

 

質問6:あなたが思うにはもっと効果的な別の軍事計画が(ロシアに)あったと思われますか?

ノーだ。軍事作戦には主目的の設定が必要だ。誰もがキエフを主目的とし戦略集中を想定していたと思う。キエフへの前進以外のことは単に支援のためでなければならず、戦力の効率的な使用をするものと思っていた。侵略自体すべきではなかったが、やるつもりだったのなら、最高の装備と部隊、そして兵站能力をキエフに投入すべきだったのに明らかにそうしなかった。

 

質問7:その能力を使ってロシアがしたことは?

彼らは4つの異なる戦線に分割して能力を配置した。作戦はあまりにもひどかった。歩兵も偵察も空からの援護もなく、装甲部隊に道路をぶらぶら歩かせた。そしてウクライナ軍が対戦車兵器で一網打尽にした。精鋭の空挺部隊を連れてきて飛行場に向かって突撃させ、飛行場を解放して地上部隊を迅速投入するはずだったが、通信システムが故障して携帯電話に頼るようになった。

 

軍隊を近代化しようとして間違った人を雇うならまだしも、人も雇わず汚職で金を吸い取られるのは全く違う話だ。

 

ロシアの将校は、能力ではなくコネやひいきで昇進してきたのではないか。私は国務省でシリア関係に携わっていたときロシアの将校らと接した経験があるが、彼らの多くが今ウクライナに関わっている。シリアでは効果的な軍事作戦よりも、シリア政権や他の関係者から財産や収入を得ようとすることに重点を置いていたように見えた。彼らのシリアでの計画や意思決定も感心するようなものでもなく、それが今明白に表れていると思う。かれらは質の悪いリーダーシップと質の悪いロジスティックスを持つ質の悪い軍隊であり、非常に汚職の傾向が強いように見える。

 

質問8:ロシアはより東に重点を置き当初とは異なる計画的なアプローチを試みています。これがどのようなもので成功する確率があるかどうか教えてください。

彼らの損失は天文学的な数字だ。部隊も破滅的打撃を受けており、兵站も弱い。北部で敗北した部隊が突然東部や南東部で変身できるとは思えない。また19万人の侵攻軍の準備を考えれば、持続可能とは思えない。

 

質問9:もしロシアの軍隊が準備不足で目標を達成できなかったら、もっと極端なことをしでかすかもという意味で、心配はありますか?

 

結局ロシアはNATOのどの国とも対決をしなかった。NATOとの対決をエスカレートさせることは彼らにとっては自殺行為だ。彼らに自殺願望がないことを信じたい。もし侵略軍が代わりにポーランドに入っていたとしたら、全滅していたと思う。

 

 

ということで、専門家から見てもロシアはグダグダでこの先もうまくいかないようです。それならもっと極端なことをしでかすというのは、生物化学兵器使用とか核兵器使用になるんでは…と恐怖を感じるんですが、アメリカのロバート・ゲイツ前国防長官は確率は低いと述べてますね。

thehill.com

 

生物兵器は基本的に制御不能なのであり得ないと。化学兵器をロシアは以前に使用していますが、現時点では一部地域を除いて、ウクライナ兵がたくさんいるところはあまりなく、どこを化学兵器の軍事的標的とするのか分かりにくいと述べています。よって化学兵器の使用がそれによる国際的な影響に勝る、ロシアの戦略的利益になることは考えにくいとしています。また、化学兵器ウクライナの人々の意志を打ち砕くための手段でもありますが、すでにウクライナ人の意志は固く、化学兵器使用が彼らの意志をさらに固くする逆効果になるとも述べています。

 

核兵器使用は閾値を超えた場合の結果は重大ですが、ウクライナ東部で戦術核が使用されれば風は西から吹いているためロシアに放射能が達することになり、地理的なリスクを考えれば確率は低いとしています。

 

ゲイツさんの見方が正しいことを祈ります。ほんと、おそロシア…。