私、イーロン・マスクほどではないんですが、結構ツイッターをまめに見ております。このブログでもいろいろ引用してきました。こんなご時世ですので、タイムラインが2割コロナ&7割ウクライナで染まっている状況。侵攻から数か月経ち、ロシアの蛮行による写真等がかなり出回っていて、正直塀の向こうから応援しつつそういったものを見て流すことがつらくなっています。どうせなら、この戦争をどう終わらせるのか、終わるとどうなるのか、のほうに注目したい気持ち。そこで、タイムラインのなかから見つけてなるほどと思ったツイートを今回もご紹介します。
まずはこちら
this is not a simple genocide. This is REPEATED genocide. Two, three, dozen times in history. Here, on Ukrainian lands. Why? Because it was never properly condemned. Not punished. "Never again" was not applied to THIS evil. Its roots are in Stalin, Lenin, Russian empire 1/5
— Volodymyr Yermolenko (@yermolenko_v) 2022年4月27日
ヴォロディミル・イェルモレンコさんというウクライナの哲学者の方ですね。以前日本の新聞かなんかでインタビューを見た気がします。ざっと訳していきます。
これ(ロシアの行い)は単なる大量虐殺ではない。これはここウクライナの地で歴史上なんども繰り返されたジェノサイドだ。なぜそうなるかというと、それが一度も適切に非難されず罰せられることもなかったから。「もう二度と起こさせない」は、この悪には適応されなかった。そのルーツはスターリン、レーニン、ロシア帝国にある。
罰せられず、非難されず、悔改められず、虐殺者は「もう二度としない」の代わりに「繰り返すことができる」と言っている。そしてその通りにできているのだ。彼らの言葉使いを見てほしい。ヘルソン農民からの「余剰の収穫の没収」、これはウクライナの大飢饉の原因となったスターリンの食料の「徴発」に似ている。
Zは邪悪(Zlo)を意味する。Zはゾンビの悪を意味する。繰り返される悪だ。何度でも戻ってくる悪だ。邪悪の悪循環だ。
「偉大なロシア文学」はこれをよく知っている。ロシアの文学者は逃げ場のない繰り返す悪とその悪循環を皆書いてきた。
これがロシアの歴史の悪循環だ。逃げ場のない野蛮な残虐行為。「進歩的な」マルクス主義を構築しようとして野蛮な残虐行為に終わったのだ。寡頭的資本主義を構築しようとしたが同じ結果に終わっている。この「逃げ場のない」ことがいつも犯罪につながるのだ。繰り返される罪に。
哲学者の方なので回りくどい感じもしますが、私の解釈では、結局ロシアというのは失敗や自国の悪行を全く反省することなく同じことを繰り返してきており、これが今回のウクライナ侵攻→蛮行の数々に続いているということだと思います。もちろんこんな体制を許し続けてきたのはロシア人でもあり、内側からビシっと叩いて批判し罰するという仕組みが働かなかったのが問題だと言えますね。また外からの批判も中途半端でした。ウクライナ侵攻に関しては、国際社会からも絶対に罰を与えて、「繰り返す」ことをできなくしなければいけません。
と思っていたら、こんな記事もありました。
朝日新聞の記者さんが概要を書かれているので、こちらで読まなくても大体わかります。
欧米はロシアへの怒りで一致するが、行き着く先については各国の意識が異なる。欧米が何より確保すべきは、ロシアが侵攻時よりも損をする状態だ。さもないと、次の侵攻の恐れが残るだけでなく、欧米の安全と信頼性も損なわれるだろう。ナイジェル・ゴールド=デイヴィス論考。https://t.co/IbCTVoMcvy
— 国末憲人 Kunisue Norito (@KunisueNorito) 2022年5月14日
こちらもやはり、例え国際社会が痛みを被っても耐えてロシアに戦果を絶対に持たせて帰らせてはいけないという意見です。やったもん勝ちが身についているので、やって損したと思わせなければまた懲りずに繰り返すということですね。完全同意。今回ばかりはお茶を濁した停戦は国際社会全体の危機を招きますね。
次のツイートですが、こちらはロシアのニュースサイト、Meduzaの編集者、Maxim Trudolyubovさんのものです。ロシア研究で有名のケナン研究所にも所属されており、ロシア人のようです。
Russia’s warmongers in chief are around 70. In Ukraine, people in charge of defense and key government functions are in their 40s and 30s. The average age of Russia’s key officials is 64. For Ukraine, the average is 44. It’s a war between generations. Short thread
— Maxim Trudolyubov (@russiafiles) 2022年5月13日
ロシアの上位にある主戦論者の年齢は70歳ぐらいだ。ウクライナの防衛と主要な政府機能の担当者は40代、30代だ。ロシアの主要な役人の平均年齢は64歳だが、ウクライナは44歳。この戦争は世代間の戦いなのだ。
ロシアの年配チェキスト(国家保安機関に勤務する人)は、ウクライナの新世代エリートだけでなく、プーチン世代にとって代われるはずの若いロシア人をも破壊しようとしている。プーチンが前者破壊に失敗することは確実だが、すでに後者に関しては達成している。
プーチンの世代は、年配チェキストの掘った穴からロシアを引き上げられる可能性のある者たちを実質破壊した。ナワリヌイ(現在46歳)のようなリーダーは投獄されている。
チェキストは、次の世代を奴隷にするか国外追放にしてしまった。30代、40代のロシア人の多くは、泥棒政治のリーダーに仕えるか、国内外で流浪の身になった。
実際のところ、もしもリーダーがプロジェクトを構築し管理する経験を持ち、選挙に勝利し有権者の信任を得ていれば年齢は問題にはならないかもしれない。ウクライナの現在のリーダーたちにはまさにそうなのだが、ロシアの指導者たちにはそこが欠けている。
もしロシアの40代、30代がウクライナ側と同様の経験をしていたなら、そもそもこんな戦争は起こらなかったはずだ。
今でも私はロシアの20代、30代がロシアで実権を握るチャンスがあることを望んでいる。いつかの時点で。ただ、確信はない。
西側では、富を求めることにおいて年配者と若者を表向きに戦わせる世代間の「戦争」がよくある議論のポイントになる。特に左派においてだ。しかし、この戦争では、それが現実のものとなっている。
日本でよく老害という言葉が使われますが、まさに今のロシアがそうなっており、戦争が終わっても若い人がしっかり育っていないため、まともな政治も期待できないということかもしれないですね。前に調べたのですが、ロシアでは反政権的な候補者はもともと選挙にでられないように工夫されていますので、野党でさえもプーチンに明らかに都合が悪い人はすべて出馬できないようになっています。出馬できても、結局少数派で力が持てないように塩梅されているので、チャレンジ不可能です。
うまく戦争が終わったとしても、やはりロシアが変わるというのはなかなか難しく、例えプーチンが退場しても、次がまともになるとは限らないですね。なかなかに闇は深いロシアです。