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世界11位の経済大国だけど…。ロシア経済、実は過大評価の可能性

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ロシアのウクライナ侵攻後1か月以上が経過し、西側の制裁も徐々に効き始めているようです。

newsphere.jp

 

GDPも15年前の水準に戻ると予測されてますね。まあ、日本も失われた20年以上、って感じで景気低迷してますが…。

 

ところがロシア経済、実はこれまで過大評価されてきたんじゃない?っていう意見が出ております。

www.omfif.org

公的通貨金融機関フォーラムというシンクタンクの記事ですが、本日もざっと訳して読んでいきます。

 

フォークランド紛争など侵略戦争の多くは、国内の経済問題から市民の目をそらすために行われてきた。ロシア経済は2021年半ばまでにパンデミック前の水準を回復し、パンデミックの克服に成功しているようにみえただけに、ウクライナへの侵略は予想外であったと言える。

 

ロシアの2021年のGDPは1.65兆ドル(約200兆円)だが、かなりの部分が使途不明であるとされてきた。これはロシアの影の経済の規模が大きいため、GDPが過小評価されていることに起因する。しかし、国境を接しロシア語を話すウクライナ市民がロシアの占領に不安を抱いていることが示すように、ロシアが近隣諸国に対してその社会的経済的モデルの魅力を高めることができていないのは明らかだ。ロシアのGDPはむしろひどく過大評価されている可能性がある。

 

GDPは世界11位だが軍隊の規模は世界2位というロシアが、力強い成長を遂げているという報告に、経済学者たちはとっくの昔に眉をひそめていたはずだ。経済規模に対して軍事費が大きすぎる場合、インフラ投資、技術革新、社会支出など、他のゴールに資金が十分に行き渡らない。

 

大都市の発展、資源輸出の多さが、ロシア経済に対する過大評価を招きやすくした。チェチェンやクリミアを除けば、ロシアは連邦の地方の発展を、戦争で荒廃したジョージアのレベルにさえ引き上げることはできなかった。国境付近でロシアモデルの魅力を高めることができなかったのは、発展が不十分であることのサインだ。

 

ドネツクモルドバから分離独立したトランスニストリアなどロシアが支援する地域の経済基盤は、安くて未払いの場合さえあるロシアからのエネルギー輸入に支えられた重工業に頼るのが典型だ。このようなエネルギーの流れは代金が支払われるという幻想に基づき、ロシアのGDPに加算される。この幻想が消えるなら、ロシアとその関連する地域のGDPは下方修正されねばならない。

 

試算では、衛星国に関しては修正幅は小さいことが示唆される。しかし、ロシアが重要な衛星国でさえ近隣国と同レベルに引き上げることができないことを考えれば、ロシアにおける類似の工業地域の実際の価値はどのぐらいなのか、そしてGDPの修正はどのぐらいの大きさになるのかと考えてしまう。ロシア軍が占領したウクライナの村のアスファルト道路や街灯に感心したという逸話を考慮する以前の話だが。

 

加えて、友好的な地域においても、ロシアは主要貿易相手国ではない。例えばトランスニストリアの主要輸出市場は同盟国ロシアではなく、非友好国ルーマニアだ。

 

ウクライナでの進捗の遅れは、ロシア軍車両の整備が不十分だったためとほとんどの軍事専門家が認めている。軍の金銭の用途における意思決定者は、他の資産に投資するため自分たちのために資金を吸い上げてきた。このことはGDPの統計に表れている。このような金は、軍のアップグレードやメンテに使われたと記録されているが、GDPには二重に計上されている。軍の規模が拡大するたびに、この二重計上は増えたに違いない。

 

ロシア軍は作戦開始後数日で食糧の略奪に走らざるを得なくなった。「支払いの済んだ」物資が実際に届いていれば、ロシア軍の食糧供給はずっと良いものだったはずだ。(そういえば、ロシア軍の配給食を日本人がネットで注文すると賞味期限の新しいのが来るっていう話でソーシャルメディアが盛り上がってましたね、クフ)。

 

ロシアは近隣国を自分の勢力圏内に引き込むことができない。代わりにこういった国々は見返りの比較的少ないEUNATOに魅かれている。大きな投資という報告にも関わらず、ロシア軍がウクライナで成果を上げるのに失敗したことは、ロシアの経済成長が過大評価されていたという結論に至る。非公式経済の規模がGDPの過小評価の原因とこれまでされてきたにも関わらずだ。軍備増強で負担の多い経済では驚くべきことではない。

 

もしそうだとすれば、ロシアのエリートが侵略に踏み切ったことは、1980年代に軍事政権下にあったアルゼンチンのような経済不振の国における意思決定者と、最初に考えたよりもより多くの共通点があったかもしれない。

 

ということで、ロシアは資源に頼って国内産業の育成をしっかりせず、軍備に大金を投入、だけど中抜きするような輩が多かったので、張りぼての経済発展だったということでしょうか。だから経済が悪くなって国民にばれる前に、侵略で国力を示したかったと。

 

中国のように、経済や新たな産業に投資して国力を高め、それから軍拡するっていう方向にいかなかったのが間違いでしたかね。これから下手すると大きな北朝鮮になるとも言われており、慕ってついてきてくれる国も減るのではないかと思います。ロシア経済、今後も注視したいですね。